女子トーク

今まであった事は全て話し終わった。

後は彩花の判決が下される。麗奈は静かにその時を待っていた。

そして、それは訪れた。恐ろしく笑顔で、もの静かな彼女によって…


『それで…泥棒猫の麗奈ちゃーん』


…泥棒猫⁉︎…そんなひどい。


…彩花、わたし友達だよね…死んでても。


「……ニャン」


『…にゃんってなぁに、さてはあなたちっとも反省してないわね』


…しまった逆効果だったの。せっかく猫のポーズして可愛いく言ったのに、

彩花、余計に怒ってる…どうしよう。


彩花への恐怖のあまり泣き顔になっている私。


「今のは冗談よ冗談。私、本当に反省してます」


『本当に?でも、そんな簡単に信じられないなぁわたし。…だって、ゆっくんが私の事を未だに想ってるのを知ってたのに、それでも襲いかかったんだからあなたは』


「ごめんなさい。昌幸に言い寄ったのは気の迷いで」


『…気の迷い?』


「ええ、そうよ寂しくてつい出来心で」


『あんたそれ本気で言ってんの?』


「…うん。…だから彩花に譲るね。昌幸は』


『譲るって?…じゃあ、あなたは自分の愛人だった理事長が死んで寂しかった、体が男を求めていたからゆっくんに近づいていたの⁉︎』


「そんなんじゃないけど…」


『そうとしか聞こえないわよ。この発情魔、さかり猫。男なら誰でも良かったんじゃないの!』


……さすがに、ちょっとムカつく


「…彩花、確かに悪いのは私かも知れないけどさすがにそれは言いすぎじゃない私に」


『何?麗奈のくせに私に口ごたえするつもり、…どうせあなたも自分の母親と同じなのよ」


…私の母親。ああそっか彩花も知ってたんだった、あの秘密……。


「ねぇ、彩花さすがにそれは友達のあなたでも許さないわよ!」


『何が、母親の悪口を私に言わせたのはあなたじゃないのよ麗奈!』


「私は何を言われてもいいけど、母親と一緒にしないでくれる。それに母だって好きであんな事してた訳じゃないんだから」


『そんなこと分かってるわよ!』


彩花が顔を一段と強張らせた。



『ただ、私はあなたが…』


「私がどうしたのよ?」


『あなたが……、』


「だから何?」


『…あーもう面倒くさいわ。麗奈こっちに来なさい』


彩花が私の手を掴んだ。


「ちょっと痛い手を離してよ!どこに連れて行くつもり?」


『このままあんたなんか生きてても、ロクな生き方しない。だから私が一緒に連れてく』


「連れてくって何処へよ?」


『私のいる場所、死後の世界』


「えっ…じゃあ私まだ死んでないの?」


『当たりよ。だから私が迎えに来たんじゃないこっちに』


「それじゃあ、元の世界に戻してよ、生き返らせてよ」


『なんで?』


「なんでって、…わたしたち友達でしょ。だったら生き返らせてよ」


『そう、友達だから連れてくのよ。…やっぱり、私一人じゃこっちの世界はさみしいじゃない』


「…そんな…ひどい。……ひどいよ彩花」


『なんでひどいの、私はあなたの為を思って言ってんのよ』


…私の為に私を殺す。どういうことよ?


私は半泣きになっていた。

……グスン。


『泣いても無駄よ。…じゃあ一応聞くけどね、もし生き返ったらどうするつもりよ?』


「……………生き返ったら?」


…生き返ったらしたいことはいっぱいあるけど。


『麗奈…あなた、さっき私に昌幸の事は諦める、譲るって言ってたけど、…馬鹿じゃないのあなた、私は死んでるのよ。…それに諦めたあなたはどうするの?』


「…また誰か他の人を探す」


『また甘えられそうな男を求めて?…まぁ、あなた無駄に綺麗でスタイルいいから男なんてすぐ近寄ってくるだろうけど。そんな考えじゃどうせ弄ばれて終わりよ』


「そんな事は無いもん。水嶋や昌幸は…そんなことしなかった」


『それは、運が良かっただけよ麗奈。理事長はあなたに会うまで女には全く無関心だったし…昌幸だって女に対してはかなり優しいの。というよりは服従している気もするけど』


「服従?」


『そうなの、背後に憑くようになってから思ったんだけどね…。ゆっくんって男の人に対しては強く言われても反発するけど…。女に同じ事を強く言われると、文句は言うけど最終的に従ってるのよ年齢に関係なく…子供の頃に何かあったのかしら?』


「女は怖いって思うような事が?」


『その恐怖心が植えつけられてるのかもねぇ…』


そう言った彩花の顔はにやついていた。


『さあ麗奈、もう一度だけ聞いてあげる。…あなたが生き返ったら一番最初にしたいことは?』


「……」


『ここで答えを間違えたら、本気であなたを連れてくわよ死後の世界に』


「……私は昌幸の事が好きです」


『だったらあなたのすべき事は?』


「…告白。でも、それなら私が刺される前にしたよ。…でも昌幸は彩花の事が」


『それはゆっくんの言い訳。あなたの本心がわからないからうかつには返事できなかっただけ』


「本心?」


『理事長の事があるでしょ、麗奈』


「彼のことはもう忘れた」


『忘れたってのは嘘でしょ。だからよ、もしゆっくんに迫るなら本気でぶつかりなさいよ。中途半端な気持ちでいったらゆっくんも認めないわよ。それにそんなんだったら私も許さないから』


「…彩花、なんでそこまで」


『友達だからよ、麗奈が』


「ありがとね彩花。でも、友達だったら風香もいるよね。…なんで私なんか」


『風香はいいのよしっかりしてるから。それに、…まぁ風香はゆっくんにはもったいなさすぎる。麗奈ぐらいがちょうどいいのよ』


「…ちょっとそれどういう意味よ?」


『あなたが私に似てるってこと。なのに肝心なところで推しが弱いから心配なの』


…彩花、あなたは私の母親なの


『わかったのなら戻るわよ。あまり体と魂が離れ過ぎているのもよくないわ本当に戻れなくなるから』


彩花は私の手を掴み浮かび上がった。


ーワン、ワン


『あら、あなたもいたんだっけクロ』


忘れられそうになった愛犬クロを引き連れ、私達は太陽の光へと吸い寄せられていった。





















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着せ替え人形 yuki @yukimasa1025

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