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夏に紡いだ物語

夏に紡いだ物語

かみたか さち

おすすめレビュー

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★★★
★15
5人が評価しました
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本文ありのおすすめレビュー

  • 馳月基矢
    350件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    八月六日八時十五分。広島にサイレンが鳴る──夏の情景たちを描く短編集

    夏を主題とする短編集。
    1本目に収録の「これまでと これからと」をまず拝読した。

    東京から広島に引っ越してきた「私」は、ここに来て初めて、
    自分が被爆三世であると知り、原爆の名残と爪痕を目撃する。
    病院、方言、学力レベル、単身赴任の父が住む町、母の選択。

    私も長崎の被爆三世で、八月のサイレンには馴染みがあるし、
    核の利用や放射線に対する独特で敏感な価値観に接してきた。
    何と表現すればいいのか……でも、忘れてはならないと思う。

    続く3編は、すこしふしぎな夏の情景。

    ある夜、部屋に帰り着いたら、同居中の弟がモフモフに……。
    その年、日本という異世界で花を探して知り合ったのは……。
    あの日、浴衣に想いを託して死んだ少女がいて、そして……。

    読後には何だか優しい気持ちになれる作品たちでした。

    • 2018年8月6日 13:24