第7話独占欲と新人賞パーティー
あの『北野シンデレラ』が今目の前にいる『北野 美南』だという現実。
1年前に会った北野シンデレラとはまるで別人だ、お姉さんですか?と言いたくなるぐらい。
しかしそんな事はなく、俺の目の前にいる彼女が俺の相方の北野シンデレラ先生なのだから。
「え、えっと南雲君…?」
深刻そうに考え事をしていた俺に
上目遣いで覗き込むような感じでこちらを眺める。
だからやめてくれません!?可愛すぎです反則ですよ!!?
「い、いやぁ…ビックリした…だってこんな」
「1年前とは大違いでしょ?気づいてくれなかったですし」
いや、だって普通に1年でこんなに変わりますか…?えぇ??
「てか、それなら早く言ってくれれば良かったのに!俺だけ気づかなくて、そっちは俺のこと知ってたんでしょう!?ずるくない!?」
「えへへ…ごめんなさい…言うタイミングわからなくて…」
あぁ〜なんとなくわかった気がする。
「どうですか…?」
彼女は少し顔を赤くして俺に問いかける。
「ん?」
「今の私はー…南雲君から見てどう映ってますか…?」
そんなの問答無用で『可愛いよ』の一言だろう。
しかし俺にそんな事言える勇気は持ち合わせておらず、言葉に詰まる。
「え、えーっと…」
「………」
俺は彼女の目をそらす、しかし再び彼女は俺との目を合わせてくる。
あくまで意見を聞くまで引く気は無いってか…!
「か、可愛い…よ」
ちょっと声が震えてしまった。
女の子に『可愛いよ』なんて口説き文句言った事なんてないんだもの!
「そ、そうですか…!」
そして、彼女は俺との目をそらす、もともと赤かった彼女顔はますます赤く染まっていた。
クッソ、こんな恥ずかしい言葉言わせないでください!!!
「ところで、土曜日のパーティー南雲君は行くんですか?」
あぁ…そう言えばあったなそんなパーティーが。
正直行く気はあまりない…。
「私は南雲君が行くなら…行きます!」
「…!」
なにそれ、そんな事言われたら断れないじゃないですか!?
「じゃあ…行こっか?」
そう言うと彼女は笑みを浮かべて返答した。
「はいっ!」
家に帰宅して、やる事は決まっている。
頭の中の整理!!!!!!
とりあえず『北野シンデレラ』と『北野 美南』は同一人物だ。
うん、それはおっけい、理解した。
それじゃあ、あのメールのやり取りも、勉強会の時彼女も目の下にクマができてた事も納得だ。
全部が全部辻褄があう。
そして、今週の土曜日にパーティーに行く。
(そう言えばパーティーって一度も参加した事ないなぁ)
あの時は、挨拶だけで参加したって言わないだろう…。
どんな服装で行けば良いのだろうか!?
スーツ!?いや、高校生だし制服でいいのかな!? やべぇわからねぇ!!
あ、パーティーに行くって連絡してないや。
スマホを取り出し、担当編集に電話を入れる。
『そうかそうか!パーティー行くか!わかった!2人で来るか?』
「え、あーどうでしょ、2人でなのかな?」
『おいおい、しっかりしろよ高校生ダッグ!!とりあえずそっちに車を送るから、よろしくな!』
「あ、はい!了解です!ありがとうございます!」
担当も打ち切りラインからま逃れてホッとしているのだろう。
それは俺も同じだ。
しまった!なんの服着ていけばいいのか聞くの忘れたぁぁあ!!!
※私服でいいらしいです。
パーティー当日。
私服でこい、『スーツとかだと逆に目立つぞ』と言われ恐る恐る私服でのパーティー参加。
「あ、南雲君!」
左隣の家から飛び出してきた、北野シンデレラ、いや北野美南さん。
「こんばんは」
「こんばんは〜!」
車が迎えに来る時間まで、だいぶ時間がある。
この時間が生きていて1番辛いと思う。
今の時間は18時46分、19時到着だから、もうきてもいい時間なんだが。
辺りをキョロキョロしていると。
「あっ!あれじゃないですか?」
道の奥の方から黒塗りの高級車がこちらに向かって来る。
「あれに乗るの…?」
「あんなのヤ◯ザが乗ってるような車じゃん…」
俺の家の目の前で止まり、運転士さんが出てきた。
「東雲南雲先生に北野シンデレラ先生でよろしいですか?」
「あ、はい!」
「そうですっ!」
「お待たせして、申し訳ございません。それではパーティー会場にご案内します」
車の中は、それはそれで高級車だからなかなかすごいものさ。
緊張しっぱなし。俺の胸は爆発寸前…。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ…?」
耳元で優しい声が俺の耳に囁く。
いや、貴女のその言葉が俺にとって緊張をより高ぶらせるんですよ…!?!?
自分との戦いの末、たどり着いたパーティー会場。
周りを見渡せば俺も乗ってきた車がぞろぞろと並んでいる。
「おい、今からヤ◯ザの集会でも始まるんじゃねーの?」
「あ、東雲様。こちらをお持ちください」
運転士さんから一枚のカードを渡される。
なんだこれ?
「なんですか?これ?」
「私共のidカードです、帰るときにお使いください」
「…!ありがとうございます」
ぺこっと頭を下げて、パーティー会場の中に入る。
入り口には今回の新人賞を取った作品なのか?それがズラーっと並んでいた。
あれ、そう言えば北野さんがいない…。
担当編集もいない…。
する事もなく、ポツンと立っている俺。
うん、わかってる、場違いだという事ぐらい…。
辺りをキョロキョロとしていると担当編集と北野さんともう1人男の人が話をしているのを見た。
俺は強引にその話の内容に突っかかる。
「あの……」
「おっ!東雲先生!久しぶり!よくきてくれたね!」
「あ、はいお久しぶりです!」
まず挨拶を交わしたのは俺の担当編集だ。
会ったのは本当に1年ぶりだ。
「そして、こちらの方は…?」
そう、もう1人俺の知らない人が3人で話をしていた。
「あぁ、紹介するよ、こちら今回の新人賞原作者部門で入選した。『葛城ショーマ』(かつらぎしょーま)先生だ」
原作者部門での入選!!!
俺の時は佳作にしか入らなかった…。
その葛城先生は俺に右手を差し出し、俺も右手を出し握手を交わす。
「よろしくお願いします東雲先生」
「こ、こちらこそ…」
そして、ちょっと困った顔をした北野さんの顔が見えた。
「そして、これからこの葛城先生の作品に絵をつけてくれる人を探していてね」
「あぁ…」
そう、原作者だけじゃ漫画は描けない、その相方がいないとダメなのだ。
「で、その葛城先生の作品を描くの北野先生にお願いできないかなって」
「……えっ!?」
「そ、それじゃあ俺の作品はどうなるんですか!?北野さんだって掛け持ちなんか…」
担当編集も少し困ったような顔をした。
「そうなんだよなぁ…」
「簡単な話ですよ」
そこに割り込んできた葛城先生。
俺の顔を見て少し笑った?そんなように見えた。
「もうすぐ終わる作品があるじゃないですか、『何』とは言いませんけど、そうしたら『北野シンデレラ』はフリーになる」
その葛城先生から発した言葉は、おそらく俺たちの漫画が打ち切りになるんだろ?
なら、北野シンデレラはフリーになるから俺のところで漫画を描ける。
そう言いたいんだ…。
「そ、そんな事…」
北野さんの震えた声で何かを発した時。
俺は嫌だったんだ。
「そんな事、させてたまるか!!!」
『…っ!?』
パーティー会場に居た人達の視線が俺に集中する、それくらいの大声を出した。
久しぶりに自分で大声を出した、それくらい許せない。
「彼女は俺のパートナーだ!誰にも渡さない!!俺だけの北野シンデレラだ!!」
「……!」
「まるで俺たちの漫画がもう終わるってような言い方も気に入らない!いつ誰が俺たちの作品が打ち切りになるって言った!!」
「まだ、終わってない…!それに、終わらせない!そしてお前なんかに北野シンデレラは渡さない!絶対に!!!!」
「南雲くん……!」
「そうですか…ま、せいぜい頑張ってくれださい…東雲先生っ?」
(くっそ…!たかが新人賞を取っただけで…こっちは連載作家だぞ…!随分舐められたものだな!!そして、絶対に負けない!)
そっと、俺の背中に手が当たる感触。
これはー…?
「…南雲君」
「北野さん…」
あ、余計な事を言ったと冷静になって思う。
もし、彼女が葛城先生と組みたいと言ってたのなら。
俺はただ彼女の邪魔をしただけだった。
「あのっ…ごめん、俺余計な事…」
「うんうん…嬉しかった…!」
「え…?」
彼女が握る手はちょっとずつ強くなる。
「あの、『俺だけの北野シンデレラだ!』って言ってくれた時。とても嬉しかったよ…!」
北野さんが上目遣いで俺を覗き込んでくる。
その顔は笑顔。
それ以上でもそれ以下でもない。
綺麗な笑顔を俺に見せてきた。
「で、でも北野さんの仕事を…」
北野さんは首を横に振り。
「違うよ、私は南雲君が考える話を漫画にしたいの!だから、そう言ってくれた嬉しかった」
「……北野さん」
「ねっ!だからこれからも負けなうようにがんばろっ!」
「あぁ…!やってやろう!あんな奴に負けてたまるか!」
俺は言いたかった言葉があった。
『ありがとう』とだが、今は言う必要ないかな。
またきっとちゃんとした機会があるよね。
ーありがとう…
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