【 慈雨 】

「梅雨は嫌い」と言ったら

おまえはそうでも

俺たちは雨が降らないと困るんだ

紫陽花の葉っぱに隠れていた

一匹のカタツムリに

小さな声で抗議された


「洗濯物が乾かない」と嘆く

なにを言ってる

雨が降らないと俺たちは

干からびて死んでしまうんだぞ

ムッとした声で

土の中のミミズが応えた


「ごめんなさい」 

わたしって人間は

いつも自分の都合ばかり

嫌なことも 辛いことも

視点を変えてみれば

それは誰かの役に立っていることなのだ


この降り続く雨が

大地を潤し 草木を茂らせて

小さな生き物たちを育んでいる

そして地球の生態系を回している

雨粒の一滴 一滴が

命の水となって土の中に滲みこんでいくから


これは豊穣の雨 慈雨じむなんだと

今 分かったよ

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