第43話 スープ

隣の家からおいしそうな

シチューの匂いが漂ってきて

知らない間に夕闇が

迫ってきているのを知る


目の前の窓には薄く広がる

雲の間に月が見えて

太陽の眠りを見守りながら

淡く輝きはじめるのを見る


どうにでもなればいい

そんなこと思っていたはずなのに

本能に忠実なおなかは

きゅんとせつない音をたて


どうしたって生きるように

作られているこの体に

観念した僕は席を立ち

あたたかいスープを作り始める

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