第26話 羽模様

走り抜ける目の前に

黒い蝶が横切って

振り返る視線の先に

ふわり白い風が舞う


ひるがえる羽の模様が

妙にまぶた焼き付いて

何かを思い出しそうな

もどかしさに包まれる


今が今じゃないような

どこかズレた感覚が

体を覆っていくから

じわりスピードゆるめて


昨日の風に吹かれて

明日に足を踏み出した

記憶の中に在る蝶が

風の中で微笑む

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