第3話

「それでこれからどうするの?」

いろいろと疑問は多いが、史織の今後が気になる。離れてしまっては、習にとってこの上なく悲しいことだ。

史織はこの質問を待っていた。

「お父さんお母さんのどちらが私を引き取るのか、どちらがきちんと育てられるのか。そんなことを毎日話しているわ。イヤなものね」

史織の唇は厚めで、自分でそれをあまり好いていない。習はぼんやり唇を見ている。とても深い感情を唇の動きで感じることができる。

「つまりわたしは、どちらにも付いて行きたくない。自分の人生は自分で決める。来年には進学する学校を決めないといけない。習は私とおなじ大学に行くでしょう?」

コクリと頷いた。それでいいんだ。

「わたしを習の家に住まわせてほしいの」

お父さんお母さんはどう思うのだろう。学校のみんなも。

「隠し通せばいいのよ。わたしは嘘が得意なの」

得意な人を見たことがないが、きっとうまくいく。

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