第56話 ホモ山→おっぱい星人
「ん? どーしたの神山? そんな変な顔してると、またキモがられるよ?」
キモがられる…、また…?
またって何? もしかして俺、キモがられてるのか!?
「…ちょっと待って津田さん。俺って、もしかしてキモがられてるの?」
「え? うん、普通に」
マジかよぉぉぉぉぉっ!?
そりゃね? 多少嫌われているのは理解してたけどね?
キモがられてるってなんで!?
そもそも普通にキモいって、何が普通なんだよ!?
「…何故だ」
「いや、だって転校生とご主人様プレイしてるとか、尾田とホモだとか、如月とホモだとか…、普通にキモくない?」
全部誤解じゃねぇかぁぁぁぁっ!!!!?
そりゃ全部事実だったらキモいって俺も思うよ!?
でもそれ、全部勘違いですから!!!!
「おい、ちょっと待て津田! そりゃ確かに神山は少しキモいが、俺とホモってどういう事だよ!?」
後ろで聞いてた尾田君も、流石に今のは聞き捨てならなかったらしい。
しかし、聞き捨てならなかったのは俺も同じだ。
何? もしかして尾田君も、割と本気でキモいとか思ってるの?
「んー、まあ、私も流石にマジでそうは思ってないんだけどねー。でも、雰囲気が結構ホモっぽいじゃん? 神山も尾田もさ」
その言葉に衝撃を受けたのか、尾田君が目を見開いて停止する。
俺も停止していたいが、好き勝手解釈されたままでは、また変な噂が広まるかもしれない。
「…津田さん、誓って言うけど、俺はホモじゃないし、尾田君もホモじゃないよ。もし、誰かがそんな事を言っていたら、否定しておいてくれないか?」
「別にいいけど、覚えてたらね? 私、あんま考えながら喋るの得意じゃないから」
胸を張って笑う津田さん。
胸を張るような事じゃないと思うんだがなぁ…
っていうか、目のやりどころに困るから正直やめて欲しい。
それなりに胸の大きい津田さんがそんなポーズを取ると、ボタンの隙間からブラが見えそうになるのだ。
「あ、エロい目で見てる! 神山って結構むっつり?」
「ちが!? ちょっと待ってくれ! 今のはむしろ津田さんが悪いだろ! そんな素晴らしいモノを前面に押し出されたら、男子高校生が反応しないワケないだろ!」
「す、素晴らしいって…、やっぱちょっとキモイんですけど…。だ、大体に、神山って普段雨宮さんで見慣れてるでしょ? 私、雨宮さんより大きく無いよ…?」
「大きさなんて些細な問題だよ。素晴らしいかどうかは、俺の感性が決めることさ」
「そ、そう…? まぁ、悪い気はしないけど…、やっぱ変態だね神山は」
「断じて違う! 普通の男子高校生だよ俺は!」
まあ、中身はおっさんなんだが、男なんて大人になっても中身は大して変わらないからな。
目の前で胸が揺れれば、目で追ってしまうのが男の
「しかしそっかー、やっぱ神山はホモじゃないかぁ…。確かにホモだったら私の胸見ても欲情なんてしないもんねぇ…」
「欲情はしてない! 何? もしかしてそれを聞きに来たのか?」
「うん。ホモなのに、なんで山田さんと付き合ってるのかなぁって」
ホモホモホモホモと、ホモを連発し過ぎじゃありませんかね?
疑惑は解けたようだけど、そうホモホモ連発されるとなんだかソワソワしてしまう。
「ホモじゃないしな…。別に俺が女子と付き合う事くらい問題ないだろ」
「え!? 問題はあるよ! 雨宮さんとか転校生がいるじゃん! あの二人はどうしちゃったのよ!」
「前にも皆の前で説明しただろ? あの二人は幼馴染ってだけだよ」
「うっそだぁー」
前、というのは麗美が転校初日にやらかした日の事だ。
あの日俺は、クラスメイト達の激しい追求に全力で否定したのだが、どうやらその効果はあまり無かったようである。
単純そうな(失礼)津田さんですら信じていないのだから、他の生徒達も恐らく同様なのだろう。
あの日の苦労を思うと、自然と泣けてきてしまう。
ああ…、あれも結局、無駄だったのか、と。
「ちょちょ、ちょっと!? なんで泣きそうな顔してんの!?」
おっと、どうやら顔にまで出てしまったらしい。
あ、なんか目が滲んでるね。
「す、すまない。ただ、本当に悲しくてさ…。誰も俺のこと信じてないんだなって思うと、ね」
「あ、あははー、ま、まあ、私は信じるよ? うん! 信じる! 神山は普通におっぱい大好きな男子高校生だってね!」
だから、普通にってなんだよ…
まあ、ホモと思われるよりいいか…
「そ、そうだよ! 俺はおっぱい大好きな普通の男子高校生さ! 津田さんみたいな素晴らしい胸が大好きなんだ! だから、決してホモじゃないよ!」
「うひ!? ちょ、ちょっと、大好きって…」
津田さんが慌てたように後ろを見たりとソワソワし始める。
む、少し調子にノリすぎたか?
いやしかし、ここで否定してホモ説を再浮上させるよりはいいだろう…
「ああ、大好きだよ。君の胸は素晴らしい! 形とかサイズとかハリとか、色々なバランスが高水準でまとまってる! 誇っても良いことだと思うよ?」
うん。多少大げさに言ったが嘘ではない。
一重の域には達していないとはいえ、津田さんの胸はモデルなどと比べても遜色ないレベルと言えるだろう。
「か、神山…、やっぱアンタ…、変態だね…」
む…? 津田さんが自分の胸を隠すようにして引いている。
何故褒められたのに引くのだろうか。
「ま、まあわかったよ。これからは神山の事、おっぱい星人だと思うことにするね!」
そう言い残すと、津田さんは速やかに自席へと帰っていった。
おっぱい星人…
そんな星があるのか…?
とりあえず、あとで検索してみることにしよう。
◇
津田さんが戻ってきて、自分の席に座り込む。
位置的に彼女は私の隣の席なので、それとなく様子を見ることにする。
若干ソワソワしている様子の津田さん…
一体何があったのかな…?
暫くしてから、津田さんがこっちの方を向く。
「ハヤミン、神山はやっぱホモじゃないみたいだよ。ちゃんと女の子が好きみたい」
顔を近付けてヒソヒソとそう告げてくる。
そうだね。神山君は女の子
「しかもね、おっぱいが大好きらしいよ?」
「お、おっぱい?」
「うん。おっぱい。アイツ、普段は寡黙そうなのに結構なおっぱい星人だったよ…」
おっぱい…
確かに、神山君は時々、尾田君の胸を見ていたけど…
まさか、そんな性癖があったなんて…
「ありがとう…、津田さん。私だったらきっと、そんな事聞き出せなかったよ…」
正直、あまり期待していなかったのだけど、思わぬ情報が手に入ってしまった。
これでまた、私の世界が補完される…
「津田さん、私…、がんばるね…」
「う、うん! その意気だよハヤミン! 大丈夫! どうも大きさが全てじゃないみたいだから、ハヤミンにも全然チャンスあるよ!」
大きさ…? ああ、胸のか。
でも、私自身の事は別にいいんだけどな…
「あのね? なんだかバランスが良いのが素晴らしいって言ってた」
バランス…?
というか、さっきからおっぱいの事ばかりだけど、彼女は一体神山くんのと何の話をしていたのだろう?
「バランスって、大きさとか形のって事?」
「うん! あとハリとかなんとか」
ハリ…、それってどうすればいいんだろう?
やっぱ胸を鍛えるのかな?
確かに尾田君は凄い鍛えてそうだけど…
「それって、どうしたらいいのかな…?」
「あ…、確かに」
どうやら彼女にも具体的な案は無かったようだ。
自信たっぷりだったから、てっきり何かあるのかと思ったのだけど…
「ん~、でもね? とりあえず、私の胸が大好きだって言ってたよ。…ちょっと見て研究してみる?」
津田さんの胸が大好き…?
大好き…
彼女の胸にそんなに惹かれるものがあるの…?
わからない、わからないけど…
「ぜ、是非お願いします」
これも私の世界の補完に繋がるかもしれない…
少し恥ずかしいけど、私は津田さんにおっぱいを研究させてもらうよう、お願いすることにした。
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