鈴ルート最終話 にっこり微笑み、彼女は言う。

「やっぱり、ここが1番落ち着くわね」

俺と鈴はいつものように屋上で昼食を共にする。俺たちにとって、この屋上は完全にベストプレイスとなっていた。

「それって誰も来ないから? それとも俺と2人っきりになれるから?」

「ばーか」

「そんなこと言わなくても……」

ちょっとだけ落ち込む俺の胸に擦り寄る鈴。

「誠と2人っきりになれるからに決まってるでしょ」

「鈴……!」

俺の笑顔に、鈴は照れ隠しをするように、そっぽを向く。

「も、もう! お腹空いたから、ご飯食べるわよ!」

「はいはい」

あの一件から数週間経ち、すっかり鈴は元通りになっていた。1つを除いては――

「なあ、鈴?」

「ん?」

「お父さんとはどうだ?」

「うん、まあまあよ」

「なら、よかった」

「心配しなくても平気だって。言いたいことを言い合おうってお父さんと決めたんだから」

「そうだったな」

「……だから、結婚していいよって言ったんだ」

鈴の声色は決して明るいものではなかったが、後ろ向きでもなく、どこか吹っ切れたような雰囲気だ。

「いいのか?」

「うん。ただし、わたしがこの学園を卒業して、誠と同棲し始めたらだけどね」

「そっか」

「お父さん、誠が挨拶に来るの楽しみにしてたよ~?」

「お、おう、任せとけ!」

「えへへ~」

「そういえば、鈴さ」

「なあに?」

「お父さん、スーファニ買ってくれようとしたんだろ? なんで断ったんだ?」

「うーん……」

「買ってもらえれば、家で好きなだけ『トルイヌ』をプレイ出来たのに」

「別にいいかなって思ってさ」

「なんで?」

「だって……」

鈴は俺を上目遣いで見る。

「誠の家に行く理由が、1つなくなっちゃうでしょ?」

「いるのか、それ?」

「いるの!」

「そういうもんか。それで他の理由は?」

「そりゃ、もちろん――」

鈴はさらに俺のほうへ、体を密着させる。

「誠に会いたいからに決まってるじゃん」

「り、鈴……」

「それじゃ悪いかよー」

「…………」

「な、なによ……言いたいことがあるなら――」

「す、すまん……。あまりの可愛さについ、な」

「そ、そんなこと言わなくてもいいのよ!」

「いいだろ、本当のことなんだから」

「……バカ」

鈴は顔を赤くしながら、俺の目を見ずに言う。そんな鈴がもっと可愛く思えて、俺は無意識に微笑んでしまう。

「ははは」

そんな俺の顔を、鈴は再び上目遣いで見る。

「ねえ、誠?」

「ん?」

「わたしのこと、好き?」

「好きだぞ、鈴」

「えへへ」

「鈴は俺のこと、好きか?」

「……好きだよ、誠」

「鈴……」

鈴の小さく可愛らしい薄紅色の唇に、そっと自分の唇を重ねる。

「ん、ちゅっ……せぇい?」

「ん?」

鈴は俺を真っ直ぐ見て、頬を赤くしながら、微笑みを向け、囁くようにその言葉を発する。

「すぅき」

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