バカ三兄弟

初戦を落としたエンペラーズだが、二戦、三戦は投打が噛み合い連勝した。


三戦目では、五回の裏の攻撃に櫻井、トーマスJr.、高梨、垣原と4連続アーチを放ち、二桁得点で圧勝した。


勢いに乗るエンペラーズはゴールデンズと同率二位に浮上した。


首位のボンバーズとは僅か1ゲーム差で、エンペラーズ、ゴールデンズ、ボンバーズの三つ巴の争いになってきた。




今日から本拠地でハードパンチャーズとの三連戦を迎えるのだが、天候が悪く、朝から降る雨が止まずに初戦は中止と発表された。


エンペラーズナインは雨天練習場で軽く汗を流し、明日に備えた。



そして球場の外には、何やら怪しげな3人組が駐車場入り口前でウロウロしていた。


警備員が3人組を呼び止めた。


「ここは関係者以外立ち入り禁止です。速やかに退場願います」


警備員が注意するが、3人組は帰らない。


3人組の1人が警備員に聞いた。

「俺たちは父親に会いに来た。この中に父親がいるんだ。来るまで待たせてもらう」


この3人組は、宇棚 元春とひろし、そして今、警備員に父親を待っていると言ったのは、かつて埼玉スーパーフライヤーズでひろしの前を打った3番バッターの宇棚キヨシだった。


何故この3人が集まり、珍太朗を待っていたのか。


3兄弟の長男、元春は北海道デンジャーズの監督を退いた後、食い扶持を求め、ひろしの下を訪ねた。


ひろしはハードパンチャーズのGMを解任された後、週刊誌で【宇棚ひろしの人生はうだな(^-^)】という人生相談のコーナーを連載していた。


職を失った元春は、ひろしに付きまとい金をせびっては酒を飲んだくれる日々を過ごしていた。


元春の下には、幾つかの球団からのオファーがあったが、それらを全て断り、ひろしに集っているという極めてゲスな生活を過ごしていた。


そして次男にあたるキヨシは、スーパーフライヤーズ消滅後は、エンペラーズの初代4番バッターとして活躍を期待されたが、思うように結果を出せず、僅か1年で戦力外通告をされた。


合同トライアウトでは、バッティングでアピールしたものの、他の球団からオファーが無く、現役を退いた。


引退後は、地元の社会人野球で打撃コーチに就任。


都市対抗野球では、準優勝に導くなどコーチとしての手腕を振るった。


キヨシはひろしより3つ年上の兄にあたるのだが、元春同様、ひろしとは血の繋がりはない。


キヨシもまた、珍太朗が現役の頃に遠征先で知り合った女性との間に生まれた子供であり、元春とは腹違いの兄弟にあたる。


キヨシはプロでは大した活躍が出来なかったが、アマチュア野球でそれなりの実績を残し、他の企業の社会人野球部からのオファーも多数ある。


それを聞き付けた元春は、ひろしを引き連れ、今度はキヨシに集り、金をせびろうとしている。


迷惑なのはキヨシで、兄弟と言われても戸籍上、血縁関係はない。


ただ珍太朗には、お前らは兄弟だ!と言われただけで、スーパーフライヤーズの頃から接点は殆どない。


困り果てたキヨシは、ゲス兄とバカ弟を父親の珍太朗に押し付けようと、エンペラーフィールドまで訪ねに来ただけだった。


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