最悪の乱闘

高島は後続を打ち取り、3点で抑えベンチに引き上げた。


対照的に榊は1番から3番を打ち取り上々な滑り出しで一回の裏を抑えた。


その後は両投手共に凡打の山を築き、迎えた四回の表エンペラーズの攻撃は先頭の高梨が左中間を破るツーベースヒットで出塁。


続くバッターは初回に3ランホームランを放った垣原だ。


高島がベンチに目をやった。


ベンチでは元春が親指と人差し指を立てピストルの構えをした。


高島はニヤッと笑い、振りかぶって第一球を投げた。


ゴツッ!!


側頭部に当たり崩れ落ちるように垣原は倒れた。


明らかに故意に投げた球だった。


「カキハラーッ!!!」


真っ先にグランドに出たのはトーマスJr.だ。


垣原の下に駆け寄る。


次々と選手がグランドに出て垣原に駆け寄った。


「垣原さん!大丈夫ですか?」


ナインが垣原に声を掛けるが返答がない。


球場内は騒然とした。


それを冷ややかにマウンド上で見下ろす高島。


内野手がマウンドに集まる。


「タンカだっ!タンカを用意しろっ!」


高梨の声が響く。


垣原はタンカで運ばれた。


そして主審は高島を危険球と見なし退場を宣言した。


「 I'm gonna fuckin' kill you!

(テメー、ぶっ殺してやる!)」


怒りに震えるトーマスJr.が猛然と高島に襲いかかる。


それを合図に両軍入り乱れ、乱闘へと発展した。


「止めろ、トーマス!退場になるぞっ!」


高梨は引き留めようとするが、デンジャーズの選手に襲われる。


「高梨さんっ!止めろお前らっ!」


櫻井が助けに行くが、更に揉みくちゃにされる。


両軍のベンチから全員がグランドに出て乱闘を繰り広げている。


元春はホームベース上でヤマオカを指し「来やがれ、このクソオヤジ!」と指でクイクイとジェスチャーする。


マウンドでは、高島が鬱憤を晴らすかのように、高梨にラリアットを浴びせ、櫻井にはドロップキックを見舞った。


「スゲー、ケンカでドロップキックでマジスゴくない?」


とショートの広田が笑いながら、大和をボコボコにしていた。


「弱ぇ、マジ弱ぇよ、コイツらw」

と笑っていた瞬間、トーマスJr.の右ストレートが広田の顔面を捕らえ、一発で倒れた。


更にトーマスJr.は高島を捕まえ、パワーボムで叩きつけKO


「トーマス、止めるんだ!」


口から血を流しながら高梨が止めようとするが、トーマスJr.の怒りは収まらない。


そしてホームベースではヤマオカと元春が向かい合う。


「おいっ、テメー俺の顔忘れたワケじゃねぇだろうな?」


ヤマオカの胸ぐらを掴み頭突きを叩き込んだ。


「立てコラ、クソオヤジ!今日で人生終わりにしてやるッ!!!」


凄まじい勢いでストンピングを叩き込む。


「立て、コラーっ!!」


元春はヤマオカを無理矢理立たせ、ハイキックを顔面に叩き込んだ。


崩れ落ちたヤマオカに容赦のないマウントパンチを何発も打ち込む。



すると背後からエルボーをまともに後頭部に食らい、元春は失神した。


エルボーを見舞ったのは榊だった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る