スミス打撃総合コーチ
櫻井をに2番に、トーマスを3番に打順を変えたのはスミスの意向によるものだった。
1番・2番・4番はだいたい同じ程度に、最も重要な打順である。打線で最も優れた3人をこの打順で起用すべき。その中でも四球の多い出塁タイプは1・2番に、長打が多いタイプは4番にすべきである。なお、2番は併殺を避けるために走力のある打者だとなおよい。
1番・2番・4番に次ぐ2人をここに配置すべき。2番と3番の打力は現実では逆転している場合が多いが、これは率直に誤りである、というのがスミスの考えである。
スミスもまたセイバーメトリクスを駆使したベースボールを展開するつもりだ。
ガンズとの対決は、セイバーメトリクスVSセイバーメトリクスという事になる。
トーマスJr.は確かに打力は超一流だ。しかし今は日本の野球スタイルにまだ適応できていない。現時点で4番は高梨だという事に至った。
トーマスJr.もメジャーでは、1番から3番までの経験はあるが、4番というイメージではなかった。
まだストライクゾーンに適応するには少し時間がかかる。
そう判断して打順を変更させた。
しかしスミスの考えはそれだけではない。
今日スタメンに6番として起用した2年目の松浦 稜(まつうら りょう)を起用した。
一軍に上がったばかりのルーキーがスミスに見いだされた。
昨年は一軍での試合は僅か7試合。主に代走や守備固めでの専門で、打席にはいったのは、僅か3打席でノーヒットだ。
プロ入りしてからまだ初安打を放っていない。
スミスは松浦のバッティングを見て、スイングスピードの速さに目をつけ、将来のクリーンナップ候補と考えているようだ。
「OK!リョー、今のナイスバッティングネー」
片言の日本語で身ぶり手振り丁寧に教えるスミス。
ナインの間ではかなり好評で、頭ごなしに押し付けるような教え方はしない。
選手が気分良く練習できるように、陽気に接してくれる。
厳格なイメージと言われていたが、実際はジョークが好きなオジサンみたいだ。
松浦のバッティングはかつてのトーマスJr.を彷彿させるかのようなパワフルなスイングだ。
スミスは松浦をパワーヒッターに育て上げたいみたいだ。
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