仮面に隠された本当の顔 1
「一方的に被害者のみを庇う法律が出来て以来、大小問わずに反政府組織は各町に作られました」
やはりあの法律を聞き、素直に従おうと思う国民は少なかったという事か。
「この街でClearSkyのメンバーは3人しか居ません。
人数を増やしたいけど、迂闊にその事を話せば、誰かが政府軍に密告するかも知れないでしょう?」
反政府組織は、女王に背いた罪として処刑される。
独裁政治そのもの。
「早見は危険を犯して、政府にスパイとしてもぐりこんでいるんです」
そこまでして、あの人が国家を滅ぼそうとする意味は何だろうか?
国に対して恨みがあるとか・・・・?
「だから我々は、貴方達の事も、貴方達の身体の事も知っています」
早見さんはどこまでの情報を知っているのだろう。
彼とも話をしてみたい。
「数ヶ月前に、水の国を脱走し、他国へ助けを求めた仲間が居るんです。
早見のお陰でなんとかこの国を脱走する事が出来、他国へ向かう事が出来たんです」
脱走?・・・・どこかで聞いた事があるような・・・・。
ん・・・・、そういえば、まだ僕達が施設で囚人を処刑している時、トラブルがあって一時処刑が中断された事があったっけ。
それと関係があるのだろうか。
「今はその次をどうするか・・・・」
その次?
という事は、他の国での説得に成功したという事?
と、会話が盛り上がってきたいいタイミングで、ガチャガチャ・・・・お店の裏側部分のドアノブを回す音が聞こえてきた。
こんな時間に訪問者?・・・・オカシイ。
時刻はAM4:00。
普通なら、皆寝静まる頃だ。
「様子を見てきます。多分早見だと思いますが、万が一何か異変があった時には、僕に構わず逃げて下さい」
そう言うと、マスターは席を立ち、音のする方向へと向かおうとする。
そんな彼の腕を引っ張り
「いえ、待って下さい。僕が行きます。
僕の身体の事は知っているでしょう?何かあった時、僕ならなんとか対処する事が出来ますから・・・」
進もうとする。
食事を与えてもらった分の恩を返したい。
そう思ったからの行動だった。
すると、
「それは、万が一何かがあった時に、無駄な血が流れるという事でしょう?
僕はそれをもう見たくないんです。
大丈夫、何かあっても日ごろから鍛えた話術で乗り越えてみせますよ」
マスターはそう言い、微笑んだ。
いけない、誤解されてしまった?
ただ恩を返すつもりが、自分で嫌っているはずのこの力に頼り、その上無駄な殺生をすると誤解までされるなんて。
しまった・・・・。
「すみません・・・、その・・・」
「いいんです。では行ってきます」
今ので、少しだけ得た信頼を失ってしまっただろうか?
言い訳のしようもない。
そんな事を考えると、ドアは勝手に開き、
「いや~、遅くなってすみません。
待ってても一向にドアが開かないから、勝手に入ってきちゃいましたよ」
薄ら笑いを浮かべながら、係員が入ってきた。
係員・・・・いや、早見さんか。
しかしこれはどういうタイミングなのか?
まるで、ここで僕達がしていた会話を全て聞かれていたかのような、タイミングの良さだ。
早見さんの顔を見た途端、マスターは緊張の糸が切れ、自然と顔が緩んだ。
あぁは言っていたけど、実際はかなり緊迫していたのだろう。
「お疲れさん、今彼に我々のしようとしている事を話していた所なんだ。
お前の分のコーヒーを入れてくる。
椅子に座って、少し休んでてくれ」
早見さんの肩をポンっと軽く叩くと、お店の方へと歩いていった。
部屋には、僕と早見さんのふたりっきり。
何処と無く気まずい。
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