食い違い 15
成分がよくわからない液体を、身体の中に注入していく。
「怖いよ」
これを入れる事により、自分の身体がどうなってしまうのか?
それを考えると、怖い。
でも、これを入れなくては、以前のようには動けない。
液体を注入し、以前のようにまた討伐をし始めたら、俺の身体は更に衰えていくのだろうか。
俺、英雄になれるのかな?
頭の中が真っ白だ。
会いたくて、待ち焦がれていたマリアとの再会。
数ヶ月ぶりに会った彼女は、見た目こそ以前と同じだったけど、すっかり変わってしまった。
仲が悪かったとはいえ、死んだミカ。
突然、目の前から消えたハヤト。
殺してしまった家族。
一人ぼっちだ。
ボーっと天井を眺めていると、
「・・・気分はどうですか?」
不快な声が聞こえてきた。
「最悪だよ」
見なくたって、それが誰なのか?わかってる。
だから、声のする方向は見ない。
「最悪?おや、真鍋さんが作った特効薬が身体には合いませんでしたかな?
そうですか・・・・では、やはりそろそろ涼さんの漆黒の翼も正規品に取り替えるべきかも知れないですね・・・・」
「正規品・・・」
とある言葉に、俺は食いついた。
「マリアの事なんですけど・・・・」
「あぁマリアさんですか?
マリアさんなら、到着して早々、任務に行って貰いました。
涼さんが戦線離脱して1週間ちょい。
予定していたよりも、討伐が進んでいないのでね。
本当なら、長距離移動してきたばかりですから、今日1日くらい休んで頂きたかったのですが・・・・」
俺が悪いのか?
なんだろう。
マリアと会う前は、俺のせいで復帰が早まる事を 悪い と思っていた。
それなのに、今は微塵もそんな事を思っていない。
心の中で、微妙な変化が起る。
「そんな事、どうでもいいんです。
ただ1つ気になる事がありまして・・・・・。
あの・・・なんか・・・・、マリアが以前のマリアとは別の人のような気がするんですけど・・・・」
こんな事を言えば、係員の事だ。
いつもの気持ち悪い笑顔を浮かべ、バカにするんだろ。
半分諦めていた。
真実なんて、聞かされないと思っていた。
すると、
「あぁ、別人ですよ。
外見は同じですが、中身は違います。
流石涼さん!鋭いですね~」
「っ!」
あまりの出来事に、声が出なかった。
外見は同じだけど、中身が違うって何?
なんでそんな凄い事を、サラっと言えちゃうんだよ。
驚き声が出ない俺と、
拍手しながら、気持ち悪い笑顔を浮かべる係員。
温度差がある2人。
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