食い違い 11
「・・・・あの・・・・」
色んな事が起こりすぎて、答えが出せなかった。
考える事が出来ない。
劣化。
試作品。
取り替える。
マリア。
マリア・・・・?
そうだ。
またマリアが戻ってきてくれるんだ。
やっと会える。
マリアは知っているのだろうか、ミカが死んだ事。
劣化する事も知っていて、脳に埋め込まれたチップを取り替えたのか。
マキの事も謝りたい。
たくさん話したい事がある。
「まぁ急にこんな事を言われても、答えは出せませんよね。
涼さんが戦線離脱状態という事を真鍋さんに連絡してきます。
もしかしたら、マリアさんの復帰を少し早める事が出来るかもしれないので」
係員はペコっと頭を下げると、ドアの方へ歩いていく。
「あの!・・・」
1秒でも早く、目の前から消えて欲しいはずなのに、俺は係員を呼び止めていた。
別にこいつに用があったんじゃない。
用があったのは、こいつの向こう側にいる人物に対して。
「ん?どうかしましたか。まだ何か話しておく事でもありましたか?」
ニタァッとしたいつもの笑顔で、こちらへと戻ってくる。
気持ち悪い。
見たくも無い。
・・・・なんだけど・・・・。
「復帰を早めてしまう事、マリアに謝って欲しいんです。
あの・・・その・・・・迷惑をかけてしまってごめんって・・・・」
俺が戦線離脱したと聞けば、マリアはすぐに戻ってきてくれるだろう。
いつも自分の事は二の次。
普段感情を殺しているけれど、相手の気持ちを思いやれる優しい子だから。
だからこそ、先に謝っておきたい。
「・・・・・・えぇわかりました、伝えておきます。
まぁ、あの子にそんな言葉は、必要ないと思いますがね」
しばらく何かを考えた後、係員はそう呟くと部屋を出て行った。
俺はその言葉に、酷く苛立っていた。
必要ない?
何言ってんだ、こいつ!
これがミカに対してなら、必要ないだろう。
低姿勢な所を見せれば、すぐに調子に乗り偉そうな態度をとるクソ女だから。
しかし、マリアなら話は別。
筋をしっかり通せば、あの子は真っ直ぐに返してくれる。
礼儀は通しておきたいと思うのは、当然だろ!
あぁそうか。
係員も弱い者には偉そうな態度を取る、クズ人間って事か。
だからマリアの事を完全に舐めている。
さっきは あぁ言っていたけど、俺の言葉なんてしっかりマリアに伝えてはくれないに決まってる!
マリアと再会できたら、一番に謝ろう!
いつまでも空っぽにならない点滴を眺めながら、マリアが戻ってくるのをベッドの上で待ち続けた。
そういえば、この点滴の中身って何だろう?・・・・聞くの忘れてた。
数日後。
この日は、朝から落ち着かず、ソワソワしっぱなしだった。
中身がなんなのか?聞かされていない、謎の液体を身体に注入しながら、マリアが戻ってくる日を待ち続ける。
ただ食べ物を食い、眠るだけの日々。
そんな刺激の無い日が続いても、またマリアに会えると考えれば、それすら楽しく思え、乗り切る事が出来た。
そして今日が、心から待ち続けたその日。
まず最初に謝ろう。
復帰を早めてしまった事を。
謝罪する・・・・・そう心に決めたはずなのに、顔が自然と緩んでいった。
何やってるんだよ、俺!
ニヤケながら謝罪したって、気持ちは通じないだろうが!
・・・・そう自分に活を入れ、真顔に戻しても、またすぐに表情が緩む。
なんかもう、末期って感じ。
いつも人と会う事を恐れていた。
イジメられるんじゃないか?
傷つけられるんじゃないか?
そう思うと、他人と接触するのが億劫で仕方がなかったんだ。
そんな俺が、マリアと会える事を心から喜んでいる。
その喜びを、抑えきれずにいる。
初めて、他人に会う事を嬉しいと思えた。
多分俺、マリアの事が・・・・・・あああーーーーーーーーーーー!何言ってるんだよ!!
髪の毛を両手でグシャグシャにかきむしる。
なんか考えてると、恥ずかしくなってきた。
俺は英雄になるんだ!
この国を憎きモンスターから救った救世主になるっていうのに、何考えてるんだよ!!!
俺が英雄になれば、マリアは英雄の妻・・・・・・・もーーーーーーーーーーーーー!
何かを考えては、頭をかきむしる。
かきむしる直前まで、脳裏に浮かんでいるのはマリアの事。
マリアは仲間だっていうのに、何考えてるんだ。
そんな目で見ちゃいけないっていうのにさ。
その事を理解してるはずなのに、それでも思い浮かべてしまう。
なんかもう、止められない。
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