ミカ 1
「おい、ミカ!討伐数158体ってどういう事だ!」
あ~・・・、また始まった。
優雅に朝食を食べていると、ブサイク涼が怒りながら歩いてくる。
ハヤトの次は、マリアが離隊。
それじゃなくても少なかったのに、討伐する人間が、とうとうアタシと涼の二人だけになった。
どんなに頑張っても、ミーティングとか偵察とか色々あって、全員で1日に討伐出来るのは一校のみ。
そんなんじゃ、全ての街を回るのに数十年かかってしまって、効率が悪いから、
マリアが居なくなった翌日から、私と涼は別れて行動し、それぞれに割り当てられた場所で討伐する事になったんだけど・・・。
一人で討伐を任されて以来、こうして毎日涼に怒られてる。
キモイ癖に、いつも偉そうに威張りやがってむかつく!
一体何が悪いっていうの?
たくさん殺したって事は、アタシが一生懸命任務をこなしてるって事じゃない!
「そのまんまの意味よ。158体殺したって事!」
「何故そんなに殺したんだ!俺なんて、昨日討伐した数は3体だぞ?ありえないって!」
有り得ないのは、お前の顔だろ!・・・って言いそうになったけど、寸前の所で堪えた。
それを言えば、こいつは更にギャーギゃーうるさく怒鳴るしね。
っていうか、たった3体しか殺さなかった癖に、偉そうに怒るなんて、マジでキモイ奴の考える事はわかんない!
「はぁ?昔は、もっとモンスターを討伐しろ!ってうるさかった癖に、
たくさん殺したら殺したで怒るって、矛盾してるんじゃないの?」
「昔と今じゃ、置かれている状況が違うだろ!
昔は、全て犯罪者達だった!
今は、罪を犯していない人だっている。
その人達は殺しちゃいけないんだ!」
昔も今も、何も変わってないわ。
相変らず、私達は女王と真鍋の捨て駒、汚れ役じゃない!
何を勘違いしてるんだか、このキモ男は!
「罪を犯していないなんて、なんでわかるのよ!
皆、影に隠れて悪口の1つくらい言ってるわ!
犯罪を犯さない人間なんて、この世界には居ないのよ!」
そう、それはアンタも含めてね!
アタシと対等にガンガン言い合いをしていたと思えば、
「でも証拠がなければ、討伐出来ないだろ!
無罪の人間を討伐したらー・・・・・・っ」
突然、難しい顔をすると、黙り込む。
そんな姿もアタシには、ウザイとしか見えなくてー・・・・、
「とにかく、指の痛みを紛らわす為に、無罪の人を殺していたとしたら、
それは後々重大な問題になるんだからな!やめろよ!」
偉そうな言葉を吐くと、その場を後にした。
アンタに何がわかるのよ。
24時間、365日、止むことがなく、激痛が走るこの右手。
そのせいでゆっくり眠る事も出来ず、食べたくもないのに、食べ続けなくてはならない、
この苦しみ、アンタになんて一生理解出来るはずがない。
その苦しみが、一時安らぐ時がある。
それはー・・・・・・、人を殺した時。
人を殺した分だけ、痛みを感じなくなる時間が長くなる。
だから、アタシは人を殺し続ける。
その痛みが消えるまで・・・・・っ!
一人前分の朝食を食べ終えると、席を立った。
さてと、そろそろ討伐に行く準備をしなくちゃ。
今日も、150人前後を殺す予定だから、朝食はこのくらいで充分ね。
やめろって言われたって、簡単に止めれる訳がない。
人間、楽な方に逃げるもんでしょ?
他人を蹴落としたって。
部屋に戻り、ダッサイ制服に着替える。
こんな真っ黒なデザインの制服を考えるなんて、流石真鍋。
オシャレの欠片もないわ。
部屋を出て、ロビーへ向かうと、係員が薄笑いを浮かべて立っていた。
「おはようございます」
朝にする当たり前の挨拶なんだけども、係員にされるとなんだか気分が悪くなる。
それは全部、あの胡散臭い顔のせいね。
真っ直ぐ目の前まで向かうと、
「ちょっと!もういい加減に、アタシが討伐した数を涼に報告するの、やめてくれない?
そのせいで、毎朝、あのブサイクに怒られるんですけどー!」
朝の出来事の八つ当たりをすると、
「一応、涼さんはリーダーなので。
後、ミカさんはまだ正式メンバーという訳ではなく、監視が必要な立場なのでー・・・」
「あぁああああああああ!!!もううるさい!わかったわよ!」
係員の言葉を、途中で遮ると、外へと歩いていった。
正式メンバーでもないアタシが、皆勤賞で討伐しているこの現状はなんなの?
いい加減、認めてくれたっていいじゃない!
何処に行っても、何をやっても、アタシは他人から認められる事なんてない。
だから、アタシは人を殺し続ける。
それは、世界平和を願った物や、女王や真鍋の為じゃない。
右手の痛みを、紛らわす為にね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます