消せない傷跡 7

「え・・・・と・・・・」


想定外のマリアの行動に、俺は言葉が詰まる。



「大丈夫?ねぇ!しっかりして!教えて欲しいの!」


いつも無表情のマリアが、珍しく動揺していた。

何があったのだろう?



「そんなに慌てて、どうしたの?教えてって何が?」


声をかけるが、



「ごめんなさい・・・・。痛かったよね・・・・」


俺の声は、マリアには届いていないみたいだ。



マリアは、マキの頭を自分の膝の上に置くと、手で優しく顔を撫でる。

すると、マキはマリアの目をジッと見つめながら、ニッコリ微笑んだ。

しかし、眉間に皺を寄せている所を見ると、痛みは感じているみたいだ。


「ねぇ・・・・本当の事を教えて。本当は貴方が・・・・、イジメられてたんでしょ?

あの3人が、嘘をついてるんだよね・・・・?」



衝撃的な話だった。

すると、マキはニッと笑うと、



「・・・・正解。・・・流石私達の正義の味方。

救世主様には、真実は全てお見通しなんだね・・・・・」


マリアの手を握り締める。




え?何言ってんの?

イジメたのはマキの方で、あの子達がイジメられたんだよね。

そうだよね?マリア!!

だって、資料にもそう書いてあったじゃないか!!



ドクドクドクドク。


心臓の音が早まるのが、自分でもわかる。

やめろ!!俺は、間違えてない!!



「どういう事だ!」



窓側の3人を見ると、目が合った途端、「ひぃっ!」という声と共に、身体をビクつかせるとガタガタ震え、何も答えようとしない。

なんで、被害者であるお前等が、俺と目を合わせただけで震えるんだよ。

被害者なら、堂々とここで「マキがイジメの首謀者だ!」って言えるだろ?

震える必要があるんだよ!

なんで、真実を言わないんだよ!



本当は、マキがイジメられていた側・・・・?


嘘だよな?・・・嘘だって言ってくれよ。

じゃないと、俺。

マキの事を、傷つけて・・・・・っ!


「違う!イジメたのは、マキの方なんだ!

だって、3人はイジメた人間がマキだと、証言したって・・、資料に書いてあったじゃないか!

おい!校長!お前、俺達に嘘をついたのか!」


教室の端の方で、丸くなりこちらを見ている校長の所まで歩いていく。

校長は無言で、首と手をブンブン横に振っていた。



「そんなんじゃ、わからねぇよ!口で言え!どうなんだ!」


校長の目の前で立ち止まると、胸倉を掴む。



「いえ!我々は嘘をついていません!彼女達の証言をそのまま資料にしただけで・・・!」


すると、汗をダラダラ噴出しながら、必死に首を左右に振った。



「なら、カナコ達が嘘を付いているとでも言うのか!」


そう怒鳴ると、



「そうなります。だって、我々は彼女達の証言をー・・・・」


同じ言葉を繰り返す校長。

この学校で一番偉いはずの人物なのに、あいつらを庇う事なく、アッサリ他人に責任転換するのか。

その姿が、凄くウザくて、スッパリ首を切断した。


叫び声一つ上げる事が出来ないまま、校長の身体は首と胴体に別れ、床に崩れる。

邪魔者は、死ねよ。



「はぁ・・・・・」



なんだろう・・・・、この無気力な感じ。

身体から、全ての力が抜けていくみたいだ。




ゆっくり後ろを振り返ると、マリアとマキは見詰め合っていた。

そして、何かを話している。



「ごめんなさい。私達、勘違いしていたの。

資料には、イジメをしたのが貴方だって、あそこに居る3人が証言したって書いてあったから・・・・」


「いいの・・・。あの子達は、昔からあぁいう性格だから。

セコイのよ・・・・、騙されたって仕方がない。

でも、今私の事を信じてくれたじゃない・・・・私はそれで、満足よ・・・・」



勘違いをし、両足を切断されたというのに、マキは微笑んでいた。

それは何故だろう?

俺には、理解が出来ない。

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