植え付けられる恐怖 4
「ちょっと!何してるんですか!拳銃で殺すなんて・・・!」
拳銃で殺すのと、俺達が漆黒の翼でモンスターを討伐するのとでは、話が違う。
前者にいたっては、ただの大量殺人犯 テロと、行動はなんら変わりない。
それを制止すべく、拳銃をぶっ放し続ける係員の腕を掴んだ。
俺達は、大量殺人犯ではない!
女王陛下から直々に命を受け、罪人を裁く存在 英雄 なんだ!
すると、係員はリーダーである俺の額に拳銃を向けると、
「貴方達が殺さないから、私達が変わりに手伝ってあげてるのではありませんか。
このままでは、全員逃げて私達の悪い噂だけが広まる恐れがあります。
この場で、この現状を目撃した人間を、全て抹消しなくては後々厄介な事になるのは、目に見えているでしょう?
邪魔をするなら、今この場で貴方の額を打ち抜きますよ」
無表情で、そう言うと、再び拳銃を街人へ向け、パンパン打ち始める。
それは・・・・理解出来てるけど・・・・、でも足が動かない。
やっぱり・・・・、無抵抗な人間を殺すなんて・・・怖くて出来ない・・・・。
手足が震えて、立っているのが、やっとだった。
ミカを除き、俺達はただその場に立ち尽くし、係員達が街人を殺す所を見てるしか出来なかった。
一人、また一人と、パラパラ打ち抜かれ倒れて行き、道路が人で見えなくなっていく。
聞こえるのは、 悲鳴 だけ。
耳を塞ぎたくなる。
そうだ・・・・、空を見よう。
空を見て、少し心を落ち着けようじゃないか。
入院した頃から、俺は澄み渡った空を、ただ見たかっただけだった。
顔を上げたが、残念な事に太陽を見る事は出来ず、空は曇っていて薄暗く、今にも雨が降り出しそうだ。
・・・・ついてないな。
やっと、綺麗な青い空が見えると思ったのに・・・・。
視線を正面に戻そうとした時、
「一番弱いこの女から、殺してやるっ!」
そんな野蛮な声と共に、 ドガッ と鈍い音が隣から鳴り響いた。
音の鳴る方を振り向くと、街人が木刀を振り下ろし、マリアはそれをギリギリ避けた物の、手に持っていた小包にソレが辺り、地面へと落ちる瞬間だった。
「女の子相手に何してるんだっ!」
右手から剣を取り出すと、マリアの事を襲いかけた男の頭を串刺しにした。
剣を抜くと、力なくその場に崩れ落ちる。
あ~・・・殺しちゃったか・・・・、でもコレは仕方がない。
こいつは、人を襲ったモンスターだ。
それなら抵抗なく討伐する事は出来る。
「大丈夫?」
声をかけても、
「・・・・・」
あまりの出来事に、珍しくマリアは動けず固まっている。
まぁ・・・・、そうだよな。
色んな事が起きすぎた。
マリアだって、普通の女の子なのだから、動けなくなっても仕方がないよ。
現に俺だって、手足が震えているのだから。
ビックリして、その場を動く事が出来ないマリアの代わりに、落とした小包に手を伸ばそうとしたその時。
「きゃあああああああ!!!」
「生首だ!!!生首が落ちてるぞ!!!!」
木刀で殴られた拍子に、小包が取れ、中身が露わになったソレを見た街人達が、次々に悲鳴を上げ始めた。
マリアがずっと大切そうに手に持っていた小包の中身はアリスの首で、
首から上の部分を、透明なケースに入れ、持ち歩いていたのだった。
「・・・マリアこれ・・・・」
正直、俺も驚いていた。
まさか、中身が生首だとは思っていなかったから・・・・。
任務先に行っても、アリスの顔が見れるよう、真鍋さんがマリアの部屋にあったアリスの死体から、
首の部分を切り抜き、特殊な液体で満たされたこのケースの中に入れたのだろう。
アリスとマリアの関係を、なんとなく知っている俺ですら驚くっていうのに、それを始めてみた人間は誤解するはず。
ハッとし顔を上げると、そこに居た街人達は、軽蔑した目でマリアの事を見下ろしており、
「生首を持ち歩くなんて、どうかしているだろ!」
「そもそも女の子の癖に、坊主頭にバンダナをしている時点でおかしいわ」
「そういえば昨日、ファミレスで惨殺事件があったらしいぞ。朝通ったら、警察が調べてたから・・・」
「もしかして、その時に死体から首を斬りとって持ち歩いたんじゃない?」
「見た目から変だしね・・・」
「気持ち悪い・・・・」
「人でなしだわ・・・・・」
口々に罵声が飛ぶ。
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