第100話過去との決別 8



「この!クズが!お前等なんて、死ねばいいんだよ!」


ガンッ!ガンッ!


床を舐めるこいつらの背中を、踏みつける。

こんな事をされているにも関わらず、抵抗する事なく床を舐め続けるこいつらは、

まるで昔の俺みたいだ。


やられた事をやりかえした。

だから、清々した気分になると思ったのに、どうしてだろう?

やればやる程、気分が重たくなっていく。




「あ~!!!!!つまんねぇんだよぉおおおお!!!!!」


志田の右手を踏みつけながら、叫んだ。

俺の声に驚いたのか?志田と石川の身体がビクつく。



「なんでスッキリしないんだよ!!!!

大嫌いだったお前等に仕返しが出来たっていうのに、なんで笑えないんだよ!!!!」


痛みに耐え切れなくなったのか? 舐めるのを止め、左手で俺の足を掴む。

志田の右手を踏みつけられている事に、気づいているにも関わらず、石川は相変らず床を舐め続けている。

こいつらの友情って、マジ薄っぺら過ぎ。

まぁ、モンスターなんて、そんなもんか。




つーか、なんで志田は俺の命令を聞いてないんだ?

右手が痛い くらい我慢しろよ。

俺はいつもこいつらの仕打ちを、黙って聞いてやったんだからさ!!!



「誰が舐めるのを止めろって言ったんだよ!!!クズがぁ!!!!!」


志田の顔を蹴り上げる。

デブの癖に、勢いよく志田の体は、後方へと吹っ飛んだ。

マジウケる。

そんな志田の姿を見て、石川は床を舐めるのと止めた。




「勝手に舐めるの止めてんじゃねーよ!!」


続いて、石川の頭を踏みつけ、額を床に強制的につけさせる。



「俺に逆らうんじゃねーよ!!!

あの時、俺は我慢したんだ!!!

お前等に毎日殴られて、どんだけ嫌な思いをしたか?わかってんのかよ!!!

毎日、制服をドロだらけにして、どんだけ母親に嫌味言われたと思ってんだよ!!!

お前等が、俺の事をイジメなければ、もっと母親に好かれたかもしれないのに・・・・」



嫌な過去が蘇ってくる。

俺がこいつらにイジメられていなかったら、こんな性格になっていなかったかも知れない。

もっと人と明るく接する事が出来たのかも知れない。

そして、母さんに愛して貰えたのかも知れない。


なぁ・・・・。

お前等、なんて事をしてくれたんだよ。

俺の人生を狂わせやがって・・・・・。

許さねぇ・・・・・。

怒りが込みあがってくる。


「なぁ、石川。お前、助かりたいか?」


頭の上に乗せていた足を避けると、その場にしゃがみこみ、石川の顔を覗き込む。

目を合わせようとはせず、床を黙って見つめながら、ウンウン首を縦に振っていた。

イジメっ子の石川は、完全に怯えている。

流石、小心者。

自分に自身がないから、他人を蹴落とし標的にする。

そうして、自分の身を守るのがイジメっ子のやる事。

マジで、クズ過ぎ。

そんなクズにイジメられた俺はー・・・。




「なら、志田を絞め殺せ。そうすれば、助けてやるよ」


そう言うと、石川の動きはピタっと止まる。

聞き取れなかったのだろうか?



「聞こえなかったのか? 志田を絞め殺せって言ったんだよ」


もう1度、先ほどより強い声で話した。

というのに、相変らず石川は床を見つめたまま固まっている。

どうしたんだ?

自分の身が一番大事な石川の事だ。

志田を殺すくらい、簡単なはずなのに、全くやろうとはしない。




「簡単だろ?志田の首を絞めて殺せばいいんだ。

そうすれば、助けてやる。早くヤれよ」


立ち上がると、軽く石川の身体を蹴った。

しかし、石川は動かない。

何故だ? 助けてやるって言ってんのに。



「ちょっと両手に力を入れればいいだけだろ?早くヤれよ!何回も言わせるな」


言う事を聞かない石川に、段々イラついてくる。

なんで命令を聞かない?助かりたくないのか?

お前等の友情なんて、薄っぺらい物だろ?

なら、早くヤれよ。

なんで、ヤんねぇんだよ。

ムカつくなぁ。

俺は、お前達の言う事を聞いてきたっていうのに!!!



「言う事を聞かないのなら、殺してやる!」


右手の剣を石川の頭上目掛けて振り上げる。

すると、ビビったのか?



「ヤる!ヤるから、ちょっと待ってくれ!!!」


顔を上げると、必死に哀願をし始めた。



「なら、早くヤれよ。もう待たねぇ・・・・」


身体を軽く蹴ると、ゆっくりその場から立ち上がる。

一歩一歩、無言で志田へ近づいていく石川。



「石川・・・、嘘でしょ?ヤメてよ・・・・」


腰を抜かしたのか?志田は逃げる事もなく、その場から動かない。

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