第86話改革 7

夕食を食べる為、部屋を出た。

今日は一度も、モンスターを狩っていないから、たくさん食べないと。


食堂へ向かう途中、寮母さんとすれ違う。

喋る事がないから、会釈だけして通り過ぎようとすると、



「あら涼くんじゃない!これから晩御飯?

明日からしばらくここのご飯食べれなくなるんだから、今のうちにたくさん食べておきなさい」


ニコニコしながら、当たり障りのない話をしてくれる。



「・・・ははっ・・・」


上手な返し方がわからなかった俺は、なんとなく笑いかける。

あぁ、マジ俺ってつまらない奴。

寮母さんには、もっとしっかり話したいのに。



「そういえば、部屋の片付けはもう終わったの?

ゴミとか洗濯物とかあったら、おばさんがやってあげるから出しておいてね」


優しい人。

うちの母親とは180度違うタイプの人間だ。


ゴミもなければ、洗濯しなくてはならない服だって持ってない。



「いや、無いから大丈夫です・・・・ははっ・・・」


嘘を付いたつもりもなければ、気を使った訳でもなく、

ただ事実を述べただけなのに、



「涼君って、まだ子供なのに自分の事しっかり出来て偉いわね。

そんなに気を使わなくたっていいのよ?もっと甘えなさい。

その為におばさんが居るんだから」


泣きそうだった。

なんだよ、それ。

そんな優しい言葉、母親にすら、言われた事ないのに・・・・。



「そんな事・・・ないです」


涙目になってる所を見られたくなかったから、顔を伏せ、急いで立ち去ろうとした。

すると、



「涼君みたいな子が、息子だったら幸せだろうな・・・・」


寮母さんが何気なく呟いた言葉が聞こえてきた。



ヤバイ!そんな事言わないでくれ。

温かい言葉をかけられたら泣いてしまう。


急いで食堂へ入り、涙目になった目を手で拭こうとした時、



あれ?涙が流れてない。

乾いてる。



あぁ、そうだった。

俺、もう涙も流せない身体だったんだ。

寮母さんの言葉が嬉しすぎて、忘れてたよ。

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