第74話帰る場所 2
そんな俺の気持ちが、透けて見えてしまったのだろうか?
寮母さんは、苦笑いを浮かべながら、
「そんな事、私は言えないわ。
だって、涼君が任務を終え、家に帰る事になった時、
そんな言い方をしてしまったら、居場所が無くなってしまうじゃない。
涼君が安心して帰れる場所を、私が奪う事は出来ない。
じゃあ、これからは、忙しくて取り次げない って伝えるわね」
「はい・・・・、じゃあ俺、急ぐんで・・・・」
寮母さんと話すのが気まずくて、俺は、理由をつけてその場を立ち去った。
一人になると、再び寮母さんが言った言葉を頭の中で繰り返してみる。
家に帰る?
俺は、またあの場所に、帰らなくちゃいけないのか?
英雄になる事を約束された俺が、またあの空間に戻り、ゴミ扱いをされる。
そんなの嫌だ!!!
俺は一生、ここに居たい!!
もう2度と、あんな思いをするのはたくさんなんだ!!
じゃあ、俺は、魔王を倒した後、何をすればいい?
学校に通ってないから、学力はない。
仕事に就けるのだろうか?
いや、魔王を倒した後も、モンスター討伐をさせて貰えるよう、女王様に掛け合ってみよう!
モンスターの存在は、魔王が居なくなっても、尽きることはないだろうし。
ん・・・・?
そういえば、女王様は言っていた。
国境の周りに塀が出来れば、新しい法案が出来ると。
その法案が出来れば、弱者が安心して暮らせるようになる、世の中に生まれ変わると。
そうなれば、俺は用が無くなる。
用が無くなれば、俺はまた家に戻される・・・・?
国が平和になっても、俺の未来に光はない。
また、あの忌々しい生活に戻るだけ。
嫌だ!
そんなの嫌だ!!
苦労して、ここまで生きてきたんだ。
これからは、幸せに生きたい!!
一人で飯を食う。
広い食堂に、ぽつりと一人だけの状態。
なんか・・・・、一人で飯食うのって、久しぶりかも。
思い浮かぶのは、マリア達の事。
そういえば、俺が抜けたら、どういう組み合わせでモンスターを討伐しているのだろう。
マリアなら、一人でも淡々と討伐出来るだろうから、ハヤトとミカで組んでるのかな?
もし、そうだとしたら、ミカはハヤトとイチャイチャして全然進まないだろうな。
それか、マリアとミカが組んで、ハヤトが一人とか?!
ミカはミカで、マリアの事を四六時中バカにしてるだろうし、
最近のハヤトは様子がおかしいから、無事討伐出来てるのか?も不明。
ミカを一人にさせたら、アイツ。
きっと、討伐なんかせずに、サボるに決まっている。
こう考えると、ミカもハヤトも戦力外。
役に立たなさ過ぎ!
マリア大変だろうな・・・。
俺が戦線離脱して、負担かけちゃったな・・・。
そんな事を考えていると・・・・・。
「あっ、えっ?あーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
出入り口から、大きな叫び声が聞こえてきた。
振り返ると、
「涼!久しぶりじゃないか!」
こちらへ駆け寄ってくるハヤト。
露骨に嫌な顔をしている、ミカ。
そして、トレーに食事をのせるマリアの姿が見えた。
なんで?!
こいつらと顔を合わせたくないから、休憩する時間をズラしたっていうのに、
どうして鉢合わせしてしまうんだよ!!
パニックになる俺。
駆け寄ってくるハヤトに、
「え?なんで?モンスター討伐は?!」
その事を尋ねると、
「あぁ、今日はトラブルがあったみたいで、もう終わったんだ。
だから、一旦食事休憩を挟んだ後、皆でトレーニングでもしよう!って事になってね」
なんだ・・・・それ・・・。
今まで、トラブルなんて1度も無かったじゃないかよ・・・・。
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