第63話王女 4

予想通り、お母様はその日のうちになくなった。

召使が、疲れきった表情で部屋までやってきて、



「リサ様。女王様が・・・・」


言葉を濁していたけれど、



「いいの。わかっているわ。一人で大丈夫だから」


そう言い、部屋から追い出した。



お母様が、生きていても、死んでも、どうせ私は一人ぼっち。

関係ないわ。



悔いがあるとしたら、願いが叶わないって事だけ。


もう私の願いは叶わないのね。

お母様に、眠るまで手を握っていて貰いたい、傍にいて欲しかった、そんな思いは、もう2度と報われない。

だって、もうお母様は居ないんだもの。

動かないんだもの。


それだけが、悲しい。





その後、淡々と葬儀が執り行われた。

国民達は、涙を流していたけれど、あれはお母様が亡くなって流した涙じゃないわ。

魔法を使ってくれる 物 が、居なくなった事に対しての、不安の涙。

だれも、お母様が亡くなった事を、悲しむ者は一人も居ない。

私も含めてね。



葬儀の終わり。

国民に対して、一言言うよう、私にマイクが向けられた。



執事が私の耳元で、小声でこう囁く。


「女王様が亡くなり、国中は悲しみで溢れました。

しかし、未熟ではありますが、私が再び笑顔で幸せが溢れる国になるよう、努力いたします」


そう、言えという事なのだろう。

しかし、私がマイクに向かって言った言葉はー・・・・、



「私は、魔法を使う気はありません。

お城にも、一部の人間を除き、自由に出入りする事を禁じます。

私は、母のような 物 にはならない」



慌てて、私からマイクを引き離す、役人達。

そんな事したって、もう遅いわ。

国民に私の声は、届いたはず。



その証拠に、いっきにブーイングの嵐が巻き起こった。

ほら、怒った。

やっぱり、魔法目当てなんだ。

どんなに文句を言われたって、私は魔法は使わないわ。

国民の為に、命を縮めるなんて事、してたまるか!

私はそうは、ならない!


「どうしてあんな事を、言ったのですか!

このままでは、国民の支持が下がってしまいます!」


引っ張られるように、室内へ連れ戻された私は、ガッツリ役人達に怒られていた。



「何故、言ってはいけないのかしら?

魔法を使う気はないというのは、事実よ。

それに、自由に城内を国民が歩き回るなんて、物騒すぎるわ。

国宝が盗まれでもしたら、どうするの?」


言い返すと、



「国民があって、私達は生活が出来ているのです!

そんな事、2度と口が避けても言ってはなりません!」


凄い剣幕で、怒鳴り始めた。


何が国民あって、私達が生活出来る!よ・・・。

お母様が居ないとなれば、次に魔法を使い干からびて死ぬのが、目に見えているのに。



「何と言われようと、私は魔法は使いません。

あの人たちを助けたって、それを優しさとは思わないじゃない!

一度治せば、それが当たり前 と思い、何度もやってくる!

そんな奴ら、助けたいなんて思わないわ!」


私は、考えを曲げるつもりはなかった。

魔法は使わない。

絶対に!




まだ学生だった私は、女王とは名ばかりで、

政治や外交に関しては、役人達が執り行っていた。


私は、ただの飾り。

・・・学生のうちはね。



卒業をし、ある程度の年数が経てば、私が実権を握る事が出来る。

それまでの、辛抱よ。


長い、ただ待つだけの時間が流れ始めた。

女王という、表立った仮面をかぶっただけの日々。



長い長い、孤独の時間。

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