ネクロフィリアとカニバリズム

『ゴトリ。』


部屋の中で、鈍く重い物音がした。


煤けた銀色のノブをゆっくりと回し、ドアを開ける。


すると、腐敗した鉄の臭いを纏う生暖かい空気が、私を抱擁するかの様に出迎えた。


その中心で少女が床に膝を着き、

横たわる屍を貪っている。


「駄目じゃないか、こんなに散らかして。」


床には散乱する死体の部品。

内臓。頭。脛。足。骨。骨。骨。骨骨骨。


「ごめんなさい。お腹が空いていたの。」


琥珀の様な瞳を震わせながら、彼女は私を見上げた。

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