0+1【詩】★


 何でもない僕だから

 君に惹かれるその訳を

 小学生でも分かる計算式で表してあげる


 1+0

 0+1

 1-0


 0から生まれる僕たちの関係


 何気ない言葉は日常で使われる挨拶

 意識ある言葉は徹夜明けで考えた言葉

 僕と君の間に引かれた白線の内側と外側

 歩いている方向も

 目に見える景色さえも

 何一つ同じものはなかった

 僕と君の世界は掠ることさえしなかった

 袖振り合う関係でも

 同じ時を過ごす関係でも

 

 何でもない僕らだから

 隣にいることは奇跡に近い時間だと思ってるよ

 似たような時間は一緒に過ごしても

 僕の鼓動と君の鼓動の速さは同じじゃない

 重ならないビブラートはメビウスの輪のよう

 絡まらないすり抜ける

 僕の手から君の手から温もりがこぼれ落ちる

 

 何でもない関係でも言葉を一つ重ねたら

 僕と君の時間は交わって重なって一つになる

 同じ時間を過ごすことができた

 君の瞳はまん丸で

 細長の僕の目に入りきらない

 君は本当に小さくて大きな存在

 僕は本当に大きくて小さな存在

 君の瞳に僕は映ってる?

 僕の瞳には君しかいないよ

 

 何でもない毎日を永遠のように繰り返して

 カセットテープみたいに細くて切れて

 もう聞けないあの頃の懐かしい大切な音楽

 何年何月何日経っても

 僕はいつでも戻れるよ

 君がいたあの優しい時間に


 何ものにもなれないあの頃と

 同じ僕だからできること

 先に進む君の背中を

 僕はただ後ろから見ることしかできない

 手を伸ばし、足を動かしても

 進むことのできない臆病な僕

 側にいたい、進みたい

 何かになりたかった僕の叶わない夢ーー。

 言葉にして、口から吐き出しても

 聞く人のない僕の馬鹿みたいなちっぽけな夢ーー。



   『君のヒーローになりたかった』



 何でもない、何ものにもなれない、僕は僕

 変わることのない僕だけの人生

 君と重なることない、ただ想い続けたい

 一人じゃできない願い事

 星に願っても叶わないけど

 君がいれば叶うことのできる僕の夢ーー。


 0+1

 1+0

 1ー0


 数式を解いて、

 数字を変えて叶うことのできる僕の夢。


 1+1

 2+0

 2-0


 僕の答えを君に赤ペンを付けて欲しい

 君がまだ僕を覚えてくれているなら

 何ものでもない0の僕を変えてくれる君に

 君の瞳に僕の姿を映して

 答えを変えよう




 

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