【メガロマニアの夜】
憧れと嫉妬を混ぜ合わせた夜は、ドライヤーの熱で焦がした黒髪の先みたいに、苦くて香ばしい気持ちになる。
「ああ、今日もあの子に追いつけなかったわ」
夢遊病者の癖して、夢を歩くのが下手だった。
錠前の解き方はきっと、朝が来ても語られない。
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