第52話 また明日

もう戻れない幼い日は

割れたガラスの破片みたいに

意味なくキラキラ輝いて

こわばる体に傷を付ける

行く道を閉ざす鈍い痛みに

気づかないふりをしたままで

逃げることも進むこともできない

臆病な自分がイヤになる

冷たい雨に溶ける花びら

まるでここから消えたいみたいに

その存在を滲ませながら

舞い戻る寒さに震える

届かないその桃色へと

濡れるのも構わず手を伸ばす

つなぎ止めたいという思いは

ほろほろと胸にあふれ出し

確かにここにある体を

放さないよう強く抱きしめた

また明日と手を振りながら

歩き始められるように


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