●2日目 09 夕方『決行前夜』
いよいよ沙希が目指す秩序の最初の関門である食糧確保作戦が迫る夜。機能から一睡もしていない沙希は完全に睡眠不足のはずなのに眠れずにいた。明日の第一歩が失敗すれば全てが破綻する。そんなことを考えると緊張で胃がきりきり痛む。
「少しは寝ておかないと明日持たなくなるぞ」
そう声をかけてきたのは立ったまま窓の外を眺めている梶原だった。もう一人のボディーガード役の光沢は壁により掛かって眠っている。思ったより神経が図太いタイプのようだ。沙希の近くでは理瀬も机に突っ伏して寝息を立てていた。夜間生徒は自分のクラスに戻り、教室に鍵をかけて外に出ないように指示していたが、生徒会メンバーということで、ここで寝泊まりしている。本人もそれを望んでいた。
「あんたも寝たら? ボディーガードが途中でダウンしたら意味ないんだから」
「お前が寝ている間に寝ちまったらそれこそ意味ねぇだろうが」
沙希は一理あると苦笑する。梶原が窓の外を眺めたまま、
「なあ覚悟は出来ているのか?」
「……なんのよ?」
「明日になれば確実に誰かが死ぬ。お前はそれを受け止められるのか?」
ガラにもなく心配してくれているのかと沙希は思いつつ、
「覚悟もなにも避けられないのよ。もう最初の変質者たちの襲撃で数十人の生徒たちが命を落としている。ここで誰も死なせたくないと考えることなんて出来ないし非現実的だわ」
「…………」
梶原は何も答えない。だがどこかつらそうな表情に見えた。
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