◆エウロペロ・オヴェル空域（くういき）は九（ここの）つの超大陸（ちょうたいりく）を中心（ちゅうしん）とした、浮遊大陸（ふゆうたいりく）・浮遊群島（ふゆうぐんとう）が空（そら）を舞（ま）う世界（せかい）である。それらの大陸（たいりく）・群島（ぐんとう）の下（した）は雲海（うんかい）に覆（おお）われている。

◆一年（いちねん）は一二ヶ月（じゅうにかげつ）。一日（いちにち）は二四時間（にじゅうよじかん）（一時間（いちじかん）は二六〇分（にひゃくろくじゅうふん））。一ヶ月（いっかげつ）＝八三（はちじゅうさん）／八四日（はちじゅうよっか）。太陽（たいよう）は三つ（みっつ）。月（つき）は四つ（よっつ）。南（みなみ）から太陽（たいよう）と月（つき）が昇（のぼ）り、北（きた）に沈（しず）む。

◆二四時（にじゅうよじ）～昼（ひる）の一一時台（じゅういちじだい）までは〈情熱〉（アルドル／Ardor）、昼（ひる）の一二時（じゅうにじ）～二三時台（にじゅうさんじだい）までは〈愛情〉（アフェクティオ／Affectio）と称される。

◆空（そら）と太陽（たいよう）の色（いろ）は、毎日様々（まいにちさまざま）な色（いろ）に変（か）わる。

◆この世界（せかい）の一週間（いっしゅうかん）は一〇日間（とうかかん）でカウントされる。

◆曜日（ようび）の名称（めいしょう）は虹曜日（にじようび）・槍曜日（やりようび）・剣曜日（つるぎようび）・盾曜日（たてようび）・鎧曜日（よろいようび）・兜曜日（かぶとようび）・篭手曜日（こてようび）・弓曜日（ゆみようび）・鏃曜日（やじりようび）・棍棒曜日（こんぼうようび）。

◆それぞれの月（つき）の名称（めいしょう）は虹女神月（にじめがみつき）・風女神月（かぜめがみつき）・炎女神月（ほのおめがみつき）・水女神月（みずめがみつき）・土女神月（つちめがみつき）・金女神月（きんめがみつき）・歌女神月（うためがみつき）・花女神月（はなめがみつき）・酒女神月（さけめがみつき）・陽女神月（ひのめがみつき）・月女神月（つきめがみつき）・夢女神月（ゆめめがみつき）。

◆空域総人口（くういきそうじんこう）は約四四〇〇兆人（やくよんせんよんひゃくちょうにん）。概（おおむ）ね〈人間族〉（ホーモ・ヴィデーレ／Homo videre）・〈獣人族〉（サピエンティア・ベスティア／Sapientia bestia）・〈魔族〉（ステルラ・イーレ／Stella ire）・〈森笛人〉（エルフ／Elf）・〈石砕人〉（ドワーフ／Dwarf）・〈小人族〉（レプトセファルス／Leptocephalus）・〈巨人族〉（ギガース／Gigas）の七種族（ななしゅぞく）によって構成（こうせい）されている。

◆大陸間（たいりくかん）・群島間（ぐんとうかん）といった長距離移動手段（ちょうきょりいどうしゅだん）は主（おも）に飛空艇（ひくうてい）である。水空両用（すいりくりょうよう）の万能的（ばんのうてき）な移動手段（いどうしゅだん）として、社会的（しゃかいてき）に重要（じゅうよう）な地位（ちい）を築（きず）いている。

◆歴号（れきごう）は再生（レナトゥス／Renatus）歴（れき）。歴史学的歴号（れきしがくてきれきごう）は下記三（かきみっ）つの歴号（れきごう）が用（もち）いられている。

◆神代歴（エラ・アルカーナ／Era Arcana）＞再生歴前（アンティークウム・レナトゥス／Antiquum Renatus）＞再生歴の順に、時代が下っていく。

◆神代歴（エラ・アルカーナ）は元年（がんねん）から一五〇〇万年（せんごひゃくまんねん）まで。再生歴前（アンティークウム・レナトゥス）は三〇万年前（さんじゅうまんねんまえ）～一年前（いちねんまえ）まで。

◆神代歴時代（エラ・アルカーナじだい）には浮遊大陸（ふゆうたいりく）は存在（そんざい）しておらず、〈神代人〉（ホーモ・クラールス／Homo Clarus）が自（みずか）らの隷属種族（れいぞくしゅぞく）として上述（じょうじゅつ）した七種族（ななしゅぞく）を生（う）み出（だ）し、それら種族（しゅぞく）を使役（しえき）し暮（く）らしていた。それ以降（いこう）の時代（じだい）になると、〈神代人〉（ホーモ・クラールス）はいずこかへと姿（すがた）を消（け）し、空域（くういき）は七種族（ななしゅぞく）が共存（きょうぞん）して暮（く）らす世界（せかい）になっていく。

◆〈獣人族〉（サピエンティア・ベスティア）は哺乳類系（ほにゅうるいけい）・鳥類系（ちょうるいけい）・魚介類系（ぎょかいるいけい）・爬虫類系（はちゅうるいけい）・両生類系（りょうせいるいけい）・昆虫系（こんちゅうけい）・竜人系（りゅうじんけい）の七種族（ななしゅぞく）に大別（たいべつ）され、またその中（なか）でも多岐（たき）に渡（わた）っている為（ため）、人種（じんしゅ）が非常（ひじょう）に多（おお）いのが特徴（とくちょう）である。

◆空域（くういき）の尺度（しゃくど）・制度（せいど）・文化（ぶんか）は地球世界（ちきゅうせかい）と共通（きょうつう）している。これは異次元（いじげん）の向（む）こうにある「異邦人（いほうじん）（または異世界人（いせかいじん））の国（くに）」（ウィキニア・ゲンマ（地球世界（きちゅうせかい））／ Vicinia Gemma）からやってきた「異邦人（または異世界人）」（ホーモ・ウィキニア／Homo Vicinia）、もしくはその世界（せかい）の出身者（しゅっしんしゃ）や、生前（せいぜん）の知識（ちしき）を保持（ほじ）したまま生（う）まれ変（か）わった「転生者」（ウィキニア・イティネラートル／Vicinia Itinerator）がエウロペロ・オヴェル空域（くういき）に地球世界（ちきゅうせかい）の諸制度（しょせいど）・文化（ぶんか）・技術（ぎじゅつ）を伝来（でんらい）させた事（こと）が大（おお）きい（特（とく）にメートル法（ほう）は利便性（りべんせい）の高（たか）さから非常（ひじょう）に普及（ふきゅう）している）。

◆そしてそれらの人々（ひとびと）が、英雄的（えいゆうてき）な活躍（かつやく）をして国家（こっか）を興（おこ）したり、有力（ゆうりょく）な国際機関（こくさいきかん）を共同（きょうどう）で設立（せつりつ）したりする事（こと）も珍（めずら）しくなく、広（ひろ）く地球（ちきゅう）の諸制度（しょせいど）がエウロペロ・オヴェル空域（くういき）に伝搬（でんぱ）し、盛（さか）んに用（もち）いられている。

◆またエウロペロ・オヴェル空域（くういき）は、様々（さまざま）な次元（じげん）にある数多（かずおお）くの地球世界（ちきゅうせかい）や、それ以外（いがい）の異世界（いせかい）と次元境界（じげんきょうかい）を接（せっ）しているため、次元（じげん）の壁（かべ）を越（こ）えて来訪（らいほう）した英雄（えいゆう）や偉人（いじん）、またはトリックスターが行跡（ぎょうせき）を残（のこ）す事（こと）が数多（かずおお）い。そのため、空域各地（くういきかくち）には彼（かれ）ら彼女（かのじょ）らが残（のこ）した遺物（いぶつ）・冒険譚（ぼうけんたん）・制度（せいど）・宗教（しゅうきょう）が伝（つた）わっている。そして地球世界（ちきゅうせかい）から数多（かずおお）くの文芸作品（ぶんげいさくひん）（アニメ／ゲーム／マンガ／ラノベも含（ふく）む）も伝来（でんらい）しており、古（ふる）くから広（ひろ）く巷間（こうかん）で親（した）しまれている。また地球世界（ちきゅうせかい）からの来訪者（らいほうしゃ）は、自由（じゆう）に

地球世界（ちきゅうせかい）と空域世界（くういきせかい）を行（い）き来（き）する能力（のうりょく）を有（ゆう）している事（こと）も珍（めずら）しくない。

◆異邦人（いほうじん）や転生者（てんせいしゃ）が興（おこ）した国家（こっか）は立憲君主制（りっけんくんしゅせい）／議会共和制（ぎかいきょうわせい）を採択（さいたく）している国（くに）が多（おお）く、元々（もともと）のエウロペロ・オヴェル空域人（くういきじん）が興（おこ）した国家（こっか）は絶対君主制（ぜったいくんしゅせい）／貴族合議制（きぞくごうぎせい）を採択（さいたく）している国（くに）が多（おお）いのが特徴（とくちょう）である。

◆浮遊大陸（ふゆうたいりく）・諸群島（しょぐんとう）の下（した）にある雲海（うんかい）を抜（ぬ）けた先（さき）には、神代歴時代（エラ・アルカーナじだい）の遺跡（いせき）や遺構（いこう）を数多（かずおお）く残（のこ）す「地の底の大地（プロフォンドゥム・テッラ／Profondum Terra）」という極（きわ）めて広大（こうだい）な空間（くうかん）がある。

◆「地の底の大地」（プロフォンドゥム・テッラ）は温暖湿潤（おんだんしつじゅん）な気候（きこう）で、様々（さまざま）な鉱物資源（こうぶつしげん）が豊富（ほうふ）でまた地味豊（ちみゆた）かであり、広大（こうだい）な森（もり）の他（ほか）、海（うみ）が存在（そんざい）し七種族（ななしゅぞく）が生活（せいかつ）する事（こと）が可能（かのう）なものの、数十年（すうじゅうねん）に一度（いちど）の間隔（かんかく）で「地の底の大地」（プロフォンドゥム・テッラ）への侵入（しんにゅう）を防（ふせ）ぐ「大いなる巨壁（マグヌム・ムルス／Magnum Murus）」が突発的（とっぱつてき）に出現（しゅつげん）し、「地の底の大地」（プロフォンドゥム・テッラ）の居住者（きょじゅうしゃ）を強制的（きょうせいてき）に浮遊大陸（ふゆうたいりく）・群島側（ぐんとうがわ）へ転移（てんい）させられる原因不明（げんいんふめい）の現象（げんしょう）が発生（はっせい）する。

◆そのため「地の底の大地」（プロフォンドゥム・テッラ）で中長期的（ちゅうちょうきてき）に定住生活（ていじゅうせいかつ）を送（おく）る事（こと）は、転移時（てんいじ）の混乱（こんらん）を避（さ）けるために各大陸（かくたいりく）・群島（ぐんとう）の国家政府（こっかせいふ）は軒並（のきな）み禁止（きんし）している。

◆ただし、ハイペリオン鉱（こう）の採掘（さいくつ）の他（ほか）、古代遺跡（こだいいせき）・遺構（いこう）の学術的発掘調査（がくじゅつてきはっくつちょうさ）については例外（れいがい）である。ハイペリオン鉱（こう）は、空域（くういき）における重要素材（じゅうようそざい）の一（ひと）つであるハイペリオン合金（ごうきん）の製造（せいぞう）には欠（か）かせず、そして遺跡（いせき）・遺構（いこう）の学術的発掘調査（がくじゅつてきちょうさ）は、失（うしな）われた神代歴時代（エラ・アルカーナじだい）の技術復興（ぎじゅつふっこう）に直結（ちょっけつ）するため、各国政府（かっこくせいふ）の支援（しえん）を受（う）け、大々的（だいだいてき）に行（おこな）われている。また数多（かずおお）くの冒険者（ぼうけんしゃ）も遺跡（いせき）・遺構（いこう）から財宝（ざいほう）を得（え）るべく活躍（かつやく）している。世間一般的（せけんいっぱんてき）には主（おも）に短期間（たんきかん）の狩猟採集（しゅりょうさいしゅう）・冬場（ふゆば）の遊牧（ゆうぼく）の場所（ばしょ）として、「地の底の大地」（プロフォンドゥム・テッラ）は用（もち）いられている。

◆ただ獣人族（サピエンティア・ベスティア）の魚介類系族（ぎょかいるいけいぞく）だけは、特例的（とくれいてき）に「地の底の大地」（プロフォンドゥム・テッラ）の海洋域（かいよういき）への長期移住（ちょうきいじゅう）が認（みと）められている。その理由（りゆう）は魚介類系族（ぎょかいるいけいぞく）が、海洋（かいよう）を守護（しゅご）する海大神（かいたいしん）クトゥルフによって治（おさ）められている夢幻都市（むげんとし）ルルイエから空域（くういき）に渡来（とらい）してきた〈深（ふか）き民（たみ）〉を祖先（そせん）としており、クトゥルフと、その配下神（はいかしん）である子神（ししん）ダゴンの神威（しんい）による加護（かご）により、転移影響（てんいえいきょう）から免（のが）れる事（こと）ができるからである。

◆そのため魚介類系族（ぎょかいるいけいぞく）は、「地の底の大地」（プロフォンドゥム・テッラ）で漁師（りょうし）といった海洋資源（かいようしげん）を活用（かつよう）して生業（なりわい）を立（た）てている者（もの）が多（おお）く、海洋研究家（かいようけんきゅうか）として活動（かつどう）している者（もの）も少（すく）なくない。

◆空域（くういき）では魔物（テネブラーエ／Tenebrae）と呼称（こしょう）されるモンスターが昼夜（ちゅうや）を問（と）わず徘徊（はいかい）し、人的（じんてき）・物的被害（ぶってきひがい）を発生（はっせい）させている。それらを退治（たいし）するために騎士（きし）や数多（かずおお）くの冒険者（ぼうけんしゃ）が活躍（かつやく）している。

◆ごく普通（ふつう）の一般庶民（いっぱんしょみん）や市民階層（しみんかいそう）は一夫一妻制（いっぷいっさいせい）だが、王侯貴族（おうこうきぞく）といった上流階層（じょうりゅうかいそう）は一夫多妻（いっぷたさい）、または一妻多夫制（いっさいたふせい）になっている事（こと）が非常（ひじょう）に多（おお）い。