第一章
何か言いたそうな気配を含んでいたが、それ以上何かを言うわけでもなくまた男子との雑談に戻ってしまう。
きっと一昨日のことを気にしているのではないかと、私は勝手に判断した。
「行こ」
再び天音を促し、今度こそ教室を出る。
別のクラス同士の生徒が廊下の壁に寄り掛かり、それぞれの会話に花を咲かせている。
そんな彼らを横目に階段を下りて、私はゆっくりと歩く天音のペースに合わせながら保健室へと向かった。
遠慮がちにノックをして、反応を待つ。
「はーい、どうぞ」
約二秒の空白を挟んでそんなありきたりな返事が中から聞こえ、私はそっと入口のドアを開けた。
「失礼します」
先頭に立って中へ入り、天音の手を引いて奥へと進む。
それほど広いわけでもない保健室。
カーテンで仕切れるようになっているベッドが二つ、左手に並んでいる。
横目で確認してみると、どうやら両方とも空いているようだった。
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