サ カ ノ ボ ル
@oshiro3
第1話
私が、何かの動物の革で作られた履き物を履いて、どこか知らない場所を歩いていたことを思い出したのは、確か私が結婚していた時だ。
何の動物の革で作られた履き物なのかわかっているようだったし、どこを歩いているのかをわかっているようだった。
結婚していた時の私は、いつも何かを思い出す努力をしていた。その時、ふと、歩いている足先が、一瞬だけ見えたのだ。
何のことかもわからないが、思い出せたことが嬉しかった。
すぐにその時の旦那に伝えた。
「そうか。」と、いつものように微笑みながら聞いてくれた。いつも私の話を沢山聞いてくれた。
私のことを全て受け止めてくれている、優しい旦那と思っていた。
私のことをよくわかってくれている、そう思っていた。
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