第678話 のじゃロリを求めてで九尾なのじゃ

 だから前も。(以下略)


 突然、ダイコン太郎に呼び出された俺と加代。

 場所は阪内某ビルディングの屋上にある高級レストラン。ブースを貸し切って振舞われるのは高級フレンチ。


 絶景の夜景。

 遠くにライトアップされる大阪城を眺めながら、薄い黄色のシャンペンを揺らして、ダイコン太郎は俺たちに呟いた――。


「本物ののじゃロリに会いに行きたい」


「……いや、格好つけずに、彼女が欲しいです加代ちゃんさんとか言えばいいだけやろ。なに格好つけてんだよフォックス」


「のじゃ。ダイコンのくせに、何を格好つけてるのじゃ、ふぉっくす」


「ええやん!! というかこんなん格好つけへんと口に出して言われへんわ!!」


 あぁはずかしと顔を赤らめて首を振るダイコンタロウ。


 こんな童貞ムーブを炸裂させておきながら、顔は意外とイケメンなんだぜ。


 信じられないだろう。

 これ、童貞なんだぜ。


 とかそういうのは置いといて。

 どうやらダイコン太郎は加代のオキツネコネクションの先に、よからぬ期待を抱いているらしかった。


 ほんと前野といい、こいつといい。

 いい歳して独身している奴は発想が気持ち悪いな。

 まったく気持ち悪い。


「のじゃ、流石はコスプレ趣味の桜の友達。彼女への要求が気持ち悪いのじゃ」


「……マッテ、カヨサンマッテ。ナンデ、ソレ、イマイウヒツヨウアルノ」


「付き合わされるこっちの身にもなってもらいたいのじゃ。まったく、わらわ母上妲己の娘でなかったら、大変なことになっておったのじゃぞ」


「……ゴメンネ、ゴメンネ」


 いやほら、そこはけど、マンネリ打破というか。


 いや、うん、すげぇこっち睨んでくる。

 本当はちょっと恥ずかしいんだぞと、そういう感じでこっち睨んでくる。

 割と俺の要求に素直に応えてくれるから、すっかり甘えていたけれども、そうか、加代さんてば恥ずかしかったのか。


 ……ゴメンネ、ゴメンネ。


 それはともかくと咳払い。

 俺と加代さんはダイコンに向き合った。


 力の入った表情でこちらを見るダイコンタロウ。

 どうやら、前野と同じで、本気でのじゃロリとの出会いを求めているらしい。

 長年ロリコンをこじらせたあげく、イケメンの癖に独身という彼は、ここに来て最後に巡って来たチャンスに賭けている感があった。


 必死だなぁ。


「正直、のじゃロリやったら、どんなんでもかまへんて訳やない。そこはそれ、ワイも社会的地位のある人間やさかい、相手にそれなりのもんは求めてしまう」


「まず、のじゃロリを求めている時点で、社会的地位は墜落必至だと思うのだが」


「のじゃのじゃ。選り好みできる立場だと思っているのが憐れなのじゃ」


「身長は140cm以下。体系は問わない。できればイカ」


「「具体的な身体的特徴を列挙するな!!」なのじゃ!!」


 危ないことになるだろう。


 お前。

 そういう描写はレーティングでも救いきれるかどうか怪しい内容なんだぞダイコン。お前のせいで、加代さんが積み重ねてきた、ここ数年の歴史が一気に削除されてしまったらどうするんだよフォックス。


 というか、お前ら揃いも揃って、無茶な要求するなよ。

 加代さんだって普通のオキツネなんだよ。


「のじゃぁ、まぁ、のじゃのじゃ言う狐娘の知り合いは幾らかおるがのう」


「あぁ、まぁ、加代さん自体そうだしな」


「ロリじゃないと需要がないというのに、どうしてそうなるのか」


「いや、普通に成長したら、ロリ成分はなくなるのじゃ。化けてロリになることはできても、常時ロリ狐というのは難しいのじゃ」


「では、成長する前の狐という所で手を打つのは」


「……そうすると今度は人間体に化けることができないので、難しい話なのじゃ」


「なるほど。のじゃが先か、ロリが先か、ということだな。難しい」


 卵が先か鶏が先かみたいに言ったけれども、最高にトンチキなこと言ってるぞ。

 お前、もう、本当に、この手の話になると果てしなくアホになるな、ダイコン。

 それで大手企業の社長やってるって、それはどうなのよ、ダイコン。


 俺と加代の白眼視をまるっきり意に介さず、ダイコンは続ける。


「じゃぁ、ロリ狐はあきらめよう。ロリ狸ならどうだ」


「……狸はちょっとぽっちゃり系が多いのじゃ。まぁ、それに比して身長低い娘も多いことはないけれども」


「お、狐は美人系で、狸は可愛い系なのね」


「ええやんええやん。そういうのを待ってたんや。ぽっちゃりかまへんで。女の子はちょっとマシュマロってるくらいでちょうどええんや」


 童貞の癖に寛大なことを言うじゃないかダイコン。

 童貞の癖に。


 じゃぁ、狸娘を紹介して終わりかな。

 なんだい案外簡単に話が進んだなと思った瞬間、加代さんが横で首を捻っていた。どうやらなにかある様子。


「……のじゃぁ。けど、ひとつ問題があってな」


「まぁ、多少の問題くらいはワイかて多めに見るで」


「……全員もれなく巨乳なのじゃ」


「ロリ巨乳はロリの中でも賛否の分かれる奴やで!! ロリやのに巨乳!! 少女性と大人の魅力の相反するコラボレイト!! 過激派にとっては、良質な素材を殺す最悪の一手!! 超高級食材で作った焼きそばみたいなもの!!」


 その口ぶり、ロリはイケても、巨乳はいけない口のようだな。


 なるほどダイコン、そういうとこやぞ。

 もうちょっとストライクゾーン広げていけば、意外となんとかなるのでは。


「あかんあかん!! 安易にロリなんて名乗ったらあかん!! 加代やん!! ロリの呼称が許されるのはバストサイズがAAAからAまでの間の娘やで!!」


「なんでお前にロリの定義を決められねばならんのか」


「のじゃ、ほんと、お前だけはちゃんとした所に入ってお勤めした方がいいと思うのじゃ」


 とにかく許されへんのやと絶叫するダイコン。


 許されないのはてめえの存在だろう。


 だぁもう、こりゃまた前野と同じで、随分もめることになるんだろうな。

 そんな予感をひしひしと感じながら、俺は目の前の伊勢海老のグラタンをつっつくのであった。


 あぁ、今日も元気だ。

 高級料理が旨い。


「座敷童!! 座敷童の知り合いはおらんのか、加代やん!! やっぱりのじゃロリの王道言うたら座敷童やろ!!」


「……いや、普通に未成年なのじゃ。成年した座敷童なんて、ニートみたいなものなのじゃ」


ボヘミアンラプソディーマンマー!!」


 バス〇の森田みたいな奇声を上げるなフォックス。

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