第422話 思わぬ副業で九尾なのじゃ

 ほんと加代さんロリ化してから仕事がなくなった。

 お仕事すぐクビになってのじゃぁーってのがなんていうか持ち味なのに、もはや世界からも戦力外通告を受けるとか、なんてかわいそうなオキツネなのだろうか。


 まぁ、一応俺の会社で、サーバー保守の仕事は続けているが、仕出し弁当の方は車が運転できないということで、長期休暇ということになったそうだ。

 これ、本当に早くなんとかしないと、えらいことになるな。


「つったって、どうしろっていう話だよな。ハクくんに聞いてみるか? いやけど、加代の奴がどうしていいか分からんのに、弟のハクくんに分かるもんなのか?」


 いろいろと考えてみるが、いい案は浮かんでこない。

 やはり年の功がなんとやら。カンボジアにいる加代のお母さん、妲己さんに助言をもらうのが一番なのだろうが、そこに行っている時間もない。


 国際電話を使うというのものあるが――高くつきそうなんだよなぁ。使ったことがないから、正直に言って手が出せない。

 どうしたもんかねと思い悩みながら。


「のじゃ!! レアカードがドロップされたのじゃ!! にょほほ、これこれ、今、高値で取引されておるのじゃ!! ついておるのう、持っておるのう、わらわ!!」


 当のロリ化したオキツネ様は、ゲームセンターで連コインして遊び、レアカードが出たことに喜んでいるという体たらくなのであった。

 何をやっているのかって。そんなの決まっておるのじゃ。


「のじゃのじゃ。コンカツのカードがどんどん溜まっていくのじゃ。結構、マニア受けする衣装カードばかりひけて、ほくほくなのじゃぁ。幼女フォームだから、連コインして遊んでいても痛い目を向けられないし、安心なのじゃ」


 ということである。

 今、加代さんは、カードゲームで小銭稼ぎの真っただ中であった。


 まっとうなお仕事でお金が稼げないのならいろいろとやりようはある。

 中古屋めぐってせどりをするとか、こうやって、ゲーセン巡ってレアカードを漁るとか、そういう生き方も世の中にはある。

 もっぱら主婦・学生の副業だが――実際、こういう状況なのだから仕方ない。

 むしろこれで加代が少しでも、金を稼ぐ達成感を得られるのなら、それはそれと、俺は割り切ることにした。


 しかし、コンカツねぇ……。


「綺麗な女の子に化けたい狐のゲームとか、こりゃまたニッチな所を狙い打ったもんだよ。いやぁー、狐娘ブーム、来てる来てるとは聞いていたけど、まさかここまでニッチなものを出して、許容されるほどまで来ているとは思わなかった」


 そして、それが割と結構いい値でカードショップで取引されているのも。

 まぁ、コモンカードは、10円ちょいだけれども、レアカードは普通に札になったりする。諭吉レベルはないけれど、樋口レベルは何枚かあるから侮れない。


 そして、そこそこプレイが巧いプレイヤーなら、これが割と排出率がよい。

 一日かじりついていたら、それこそ出せないレベルの確率ではないので、そこそこの旨味がそこにはあった。


 いやぁ、ソシャゲと比べたらホント、ぬるいゲームだよね。

 そして、いい商売だよね。


「最近はドロップしたプレイヤーしか使えないように、カードに加工されているのも多いっていうのに、そういうのもないし。ほんと、ザルだよなぁ」


 そして、ショッピングセンターなんかでは人気なのだが、ゲームセンターでは割とがら空きだったりする。わざわざ、ゲーセンに来てまでやる層がいないのだ。

 ショッピングセンターでやってると白眼視されそうなコンカツおじさんの姿もない。


 そんな訳で、加代の奴はこうして連コイン。そしてレアカードをじゃんじゃんばらばらと輩出しているという次第なのであった。


 うぅむ。


「ある意味、これはプロゲーマーと言ってもいいのではないのだろうか」


「のじゃ、なんか言ったかのう桜よ」


「最近はEスポーツなんかも人気だし、そっち方面なら見た目の年齢がちょっとあれでも、なんとかなるのではないだろうか」


「のじゃぁ……。じゃから、何をさっきからぶつくさと、言うておるのじゃ桜よ」


 加代。

 いっそ、プロコンカツオキツネを目指してみるのはどうだ。

 ゲームセンター九尾なら、なんというか、職業じゃないからクビになる心配はないような気がする。そうするべきだ、是非そうしよう。

 いや、まったくもってそうするべきだ。


 いいアイデアが浮かんだぞと一人合点する俺を余所に加代は……。


「のじゃ、この調子で今日もまたレアカードを大量ゲットするのじゃ。のじゃふふふ。なんだか札束を印刷しておるような気がして、悪い気がせんのう。現代の金脈を見つけたりという感じじゃ」


 などと言って、怪しく笑うのだった。


 うぅむ。普通、これくらいの見た目年齢の子がやってたら、ほほえましいものだが。ちっともそう感じないのはやっぱり中身が大人だからだなぁ。


 いかん。Eスポーツは悪くはないが、この稼ぎ方は彼女にとってあまりよくない。

 いい所で終わらせよう、そう決意すると、俺はゆっくりと加代の背中に――。


「フリーズ・ドント・ムーブ!!」


「ほんでまたお前はまたいつでも出てくる!!」


 声をかけようとしてまたいつもの警官さんに捕まるのであった。


 違うのじゃ、事案じゃないのじゃ。

 あれ、同居狐なのじゃぁ。

 というか、さんざんやりとりしてるんだし、アンタもうしってるだろフォックス。

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