-4日目- 「no pain, no gain」

ピピピ ピピピ ピピピ ピピピピピピピピピピピピ・・・・・・。

朝6時45分。恒例の目覚ましアラームに起こされる。

念のため、左手のスマートフォンを開いてカレンダーを確認する。変わりはない。

昨日の夜は人生の中でも最悪の経験だった。目の前に猛スピードで迫り来る列車の怖ろしく大きなこと。

申し訳ないことに、私は死の瞬間眼を見開いて、運転手の眼を見つめてしまった。

本当にごめんなさい。

跳ねられ身体が弾け飛んだ時の激痛が、まだ全身に残っている気がする。

文字通り、身体に鞭を打って私は直ぐに行動を開始した。極度の低血圧症の私にしては珍しい。もしかしたら、体質までが改善されていたりして……まさかね。


朝食は抜きにし、熱いシャワーを浴びて、脳内の意識を正常に取り戻す。夕べ、考えに考え抜いた計画を実行するのだ。

優先順位としては、先ずは彼女をあの場から引き離す事、それが先決と思われた。

午後までにはまだ時間の余裕がある。

予め、彼女自身のことをある程度知って起きたかった。昨夜のうちに、グレイのブレザーの制服から、学校名は調べ上げておいた。

どこにでもある都立高校だ。彼女のあの様子だと、今朝は学校へは登校しないかも知れない。でも、学校の雰囲気だけでも事前に触れておきたかった。それなので、朝イチは、高校の登校風景を覗きに行こうと考えていた。


万が一の時を考えて、動き易い身軽な格好で(彼女にしがみついてでも止めなければならない場合もある)、スニーカーを突っ掛けて自宅を飛び出した。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る