第7話:トイレの外側で大便をしないでください
「なに? 次はウチの番なの?」
めんどくさそうにむしゃむしゃ頭を掻きながら、モンメ先輩がみんなの前に立ちます。
「ま、ウチは部長みたく変態じゃないから、フツーにさらっと語っちゃうけど」
腕を組み、ふうーっと大げさにため息をつくモンメ先輩。
「そーね、新入生にとりあえず覚えといてほしーのは、『スカトロ』って言葉を安易に使ってほしくないってコト。アンタさ、『ウンコが好き=スカトロ』ぐらいにしか思ってないんじゃない?」
「は、はあ……」
曖昧に首を傾げる私に、「だろうねー」と呆れ顔で肩をすくめるモンメ先輩。
「あのね、ウンコが好きって言ってもいろんな種類があるわけ。ウンコをするのが好きな人、ウンコしてる人を見るのが好きな人、ウンコを食べるのが好きな人、逆に食べさせるのが好きな人、ウンコを自分の身体に塗るのが好きな人、逆に人から塗られるのが好きな人、ウンコっていう物体そのものが好きな人。……そして!」
ここテストに出るよ! と言わんばかりに、先輩は力強くピンッと人差し指を立てます。
「実はね、おしっこが好きっていうのも『スカトロ』に入るの。だから、アイツもウチとおんなじスカトロジストだってことね」
アイツことイバリ先輩が潜む奥の個室を指差しながら、モンメ先輩は言います。
「ちなみに、ウチはおしっこはそんなに好きじゃない。ウンコが九割。で、どう好きかってゆーとね、んー……正直なんでも好きっちゃ好きなんだけど、一番はやっぱり食べるのが好きかな。知ってる? ウンコってただただ苦いってイメージでしょ? でもね、苦さの中に、ふっ、と香りを感じる瞬間があるわけ。ほんとに一瞬なんだけど、もちゃもちゃもちゃもちゃ噛んでるうちに、ふっ! と苦みの向こう側に、そのウンコをした人の体のにおい……っていうのかなあ。とにかく、あるのよ、そういう苦みだけじゃない味。この世のどんな食材でも再現することができない、ウンコだけが醸すことのできる特別な香り。ウチは、それを味わいたいからウンコ食べてるってトコあるかな。ま、でもフツーに美味しいから食べてるってのもあるけど。あ、あと、被虐感っていうの? 『ウチ、ウンコなんか食べてる……』ってゆーさ、で、それがどこの誰かも知らない薄汚いオッサンのウンコとかだったらもう最っ高に興奮する! あ、あとねあとね……」
…………ううーん。
モンメ先輩、『フツーにさらっと語っちゃうけど』とか言ってたけど……今のところメンバーの中で一番凄まじいなあ……。
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