第8話「楽しく……けど」
「つか、なんでここ?」
「一人で来るのはちょっとと思って~」
僕達が今いる場所はメイドさんがいたり電機店やゲームやレトロなおもちゃ屋があったりする場所、秋葉原だった。
あれからしばらくしたある日、今度の休日にデートしようという話になった。「じゃあさ、どこに行きたい?」
僕が聞いたら美咲さんはこの機会に行きたいところがある、と言った。
「まだ行った事ないんで~」
「それ、どこなの?」
「それは当日のお楽しみ~」と微笑んだ。
そして今日。
電車に乗ること一時間ほどで駅について、さてここからどこへ、と思ったら
「さ、行きましょ~」
美咲さんに手を引かれた。
「う、うん」
その後僕達は初めに駅の下にある工具や部品を置いてる店を見て回った。なんで、と思ったら新しい商品を作る工具や材料を買いたかったみたい。
しかし店の場所よく知ってるなあ、と思ったらこの日のためにネットで調べてたらしい。
そしていくつかの店を回っていろいろ買った後は電気街をブラブラと歩いた。
途中で美咲さんがビラ配りしているメイドさんの服を見て「あれお店の制服にしようかな~」とのたまった。
う~ん、それはちょっといいかも。
「あ、あのお店の中も見たいです~」
美咲さんが指さした方を見ると、げえ!?
「やめて! あそこは絶対ダメ!」
「え~? 何でですか~?」
「何でってありゃいや~んなビデオやグッズがある店だろが! あんなとこに入ったら美咲さんが痴女だと思われるわ!」
「そんな~、ふえ~ん」
わかりやすい嘘泣きしてもダメです。
ひととおり見た後「じゃあ次の場所へ」と言われて駅まで戻って電車に乗った。今度はどこ行くの? と聞いたらまた着いてからのお楽しみ、だとさ。
「着きましたよ~」
「おーい」
そこはサブカルチャーの聖地、中野ブロードウェイだった。
「もしかして美咲さんてオタク?」
「オタクかなあ~? ここには懐かしいおもちゃや本がたくさんあるって聞いたから、一度見たかったんですよ~」
あ~そういう事か。
ここなら個人的な感覚だけど、秋葉原よりもたくさんあったりするもんな。
「それとここのおもちゃ屋さんには、父が昔好きだったっていうロボットの玩具がたまに売ってたりするらしいんです。だからもしあったらお土産にと」
なるほど、オタクなのはお父さんか。
「で、どんなロボット?」
「カップのどんぶりが変形するものらしいですけど」
「それ、凄まじいほどに入手困難だよ。ネットオークションに出てたりもするけどものによっては定価の二十倍以上になるし」
「父もそう言ってました。けどよく知ってますね~? あ、もしかして健一さんってオタク?」
「……否定しません。僕そっちも好きです。たまにここに来てます。秋葉原にも」
「やっぱり~? じゃあ今度魔法少女のコスプレを」
「い、いいの?」
う、想像したら結構
「はい。母にしてもらいますよ(笑)」
美咲さんが意地悪そうなニヤけ顔で言った。
それはダメーー!
てかお母さんもか!?
「さすがに今はしませんけど、若い頃はしてたみたいですよ~。とまあそれは置いといて行きましょう~」
……と、その後もこんな調子で何度も楽しくデートしていた。
けど……
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