第42話
私も拓真も同じだ。
大体のことはなんでもできる。
だけど、それだけだ。
いつだって本当に欲しいものや、求めたものを手にすることができずにいる。本気でやっても二番手三番手、目の前でかっさらわれることを恐れてる臆病だ。
お互いが同族であることを知らないふりをしながらも、内心は気づいていた。
それでも、私たちは嫌悪ではなく、共存の道を選んだ。
そのほうが楽だったから。
「もう少し、契約続けませんか?」
その拓真の言葉がすべてを象徴している。たくさんの予防線を張って。
私は知ってる。拓真と一番仲の良い女だから。顔がいいゆえの、拓真の過去の恋愛遍歴も、まだ忘れられない人がいることも。そして、私のことを女だとは思っていないことも。
それをわかっていても、彼のその言葉に縋りつこうとするくらいには、私は愚かで、ずっと諦めていた一番になりたいと、初めてのむなしい願いを抱いた相手だった。
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