第24話

「つぐ。今度の土曜。」

「ん?」

「デートしよっか。」

「は?」

普段とは違う、むしろ、絶対に乗らないような誘いを拓真かけてくる。

「前に言ったろ、行きたいところがあるって。」

「だからどこよ?」

その話は聞いた、でも、どこに行くかは聞いていない。

「ヒミツ。」

折しも今週の土曜は彼女たちの試合の日だ。可能な限り知ることをやめようと思っていたが、周りから半強制的に情報が与えられてきた。だからこんなに乗るはずのない誘いに乗る気になった。その日をどうにかやり過ごしたかった。

「…いいわよ。」

「やりい。」

いや、嘘。私はきっとこいつに誘われたら、大抵のことなら乗りたいと思ってしまう。

「で、どこ?」

「暑いとこ行くからな!」

この後も散々どこに行くか問い詰めたが、返ってきたのはこれだけで、後はにやにや笑うばかりだった。

「じゃあ、9時に!」

「なんか朝早くない?私朝弱いんだけど…。午後じゃダメな訳?」

拓真はケラケラ笑って

「お前いつも二時間目くらいまで死んでるもんな…。俺が迎えに行ったほうがいいわけ?」

「そうは言ってないわよ!寝起きなんて見せれたもんじゃないし。」

「電話してやるから。何なら迎えに行くし、頑張ってくれ。」

拓真が私をからかう。なぜ頑なに朝にこだわるんだろう。

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