第22話
このクラスは居心地が悪いわけではないが、気持ちのいい場所でもない。担いで祀り上げられる神輿もいないからだ。神輿がないということは、光がない。光がなければ影として立ち回ることは途端に難しくなる。
それにこのクラスの子たちは人脈も広く、ウチの部の子たちと仲の良い子が多い。私の友人でもあるから、すべてを信じているわけではないだろうけれど、完全な嘘でもない上に、もともとウチの部のコたちほど人望もない私が多少敬遠されるのは無理もない。
「つぐな。」
「ゆみちん、さなりん。」
二人は、部の子たちとも仲がいいけれど、私のことも信頼してくれている、と思う。気を使ったように私に遠慮がちに問いかけてくる。
「…引退試合行くの?」
「行かないわよ。合わせる顔がないもの。」
行けるはずもない。ましてやOGも現れるかもしれない場所で醜態もさらせない。
「みんな待ってるんじゃないの?」
「待ってないよ。もう怒ってるだけ。気を使わせてゴメンね。」
無理やりに話を切り上げる。
「…。」
「ゴメン。私拓真に用あるから。」
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