第64話 幻聴の薬もらってきた
精神科に行って「幻聴が聞こえます」と言ったら、前回、手が震えるからやめましょうと言われて中止したエビリファイが復活。それも六倍の量。手が震えるのはどうするんじゃと言ったら、ノリトレンを減らすから落ち着くはずだとさ。だったら前回、ノリトレンを減らしてくださいよ。ノリトレン、いよいよ自殺決行の秘密兵器になってきたな。しかし、何度も言うけど、未遂に終わった時の苦痛は耐え難い。生まれたての子鹿のように足元がおぼつかなくて立つこともままならない。何度もぶっ倒れ、貧血のように目の前が昏くなる状態はやった人にしか分からないね。
分かっているけど、ショックを受けた時はやってしまう。いずれ、本当に死ぬだろう。
死後の世界ってあるのかな? おいらはないと思うな。永久に冷めない眠りがおいらを待っているんだ。目覚めないから意識はない。こうして人間は無に戻っていくのだ。無。言葉はあるが、現物はない。死んだ人間はないものになっていくんだ。苦しみ、悲しみから解放されるが、喜びをもう味わうことはできない。それに我慢できそうなら、潔く死を選ぼう。昔の切腹には介錯がついた。腹を切る前に、首級をはねてしまうのだ。これなら一瞬に天国へ行ける。痛みもそんなにないだろう。
首切り浅右衛門という介錯の名手が、江戸時代にいた。首切りの天才だ。切腹するものは大した苦痛もなく無に帰った。現代にもそんな人いないだろうか? 三島由紀夫は切腹した時、介錯人が下手くそで苦しんだそうだ。首切り浅右衛門がいればよかったのにね。
今日、暗い夜道を歩いた。通り魔でも出て、おいらを殺してくれと願ったが、ねこ一匹現れない。
今、期待しているのは、例の隣の家の阿修羅ヤンキー。煙草の煙に怒って、我が家に乱入。短刀で心臓ひとつきでおいらは絶命。無に帰る。これから阿修羅ヤンキーを挑発するため、ベランダで煙草を吸ってやろう。怒鳴り込んできたら、もうけもの。素手じゃなくて短刀持ってきてね。よろしくま。
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