7 イライラの定義 

 イライラは、怒りに比べると論じられる機会が少なく、まだそれほど考察されていません。

 前に見たように、小さな怒りを「イラッとした」と表現することもあるので、「イライラ」と言った場合、怒りのそれほど大きくないものが持続する状態と考えることもできます。

 国語辞典には「思いどおりにならなかったり不快なことがあったりして、神経が高ぶるさま。いらだたしいさま。(デジタル大辞泉)」と書いてあります。

 「思い通りにならない」から「不快になる」のであって、「不快」だから「思い通りにならない」わけではないので、「思い通りにならない」というのが原因でありポイントでもあります。

 ここまで見てきた怒りは、「欲求充足が阻止された時に生じる」ということでした。「思い通りにならない」と「欲求充足が阻止された」はかなり似た状態を表していて、感情が発生する原因は怒りに似ています。

 怒りとイライラの区別については厳密な定義があるわけではありません。初めのほうで書いたように、怒りよりもイライラの方が量的には小さいが持続する状態を表す場合が多いようです。

 本書では、原則として怒りを中心に書いていき、必要があるときにイライラについても取り上げるようにします。

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