凛の場合

 今日は天気がいい。

 天気がいい日はどうしたって憂鬱になる。


 「うん、分かった。じゃあ私お店決めておくね、お酒じゃない飲み物も充実してる所がいいよね。」

 受話器の向こうから「全部任せちゃってごめんねー。」と言う声と小さな女の子の泣く声が聞こえる。

 「大丈夫だよ、私暇だし。うん、忙しい所ありがとうね、久しぶりに会えるの楽しみにしてる。」

 「私も楽しみだよーありがとねー。」と言い受話器の向こうの相手は電話を切った。



 結婚で県外に出てしまった陽子が久しぶりに帰ってくるというので、高校の時の仲良しグループで集まる事になった。

 6人全員で集まるのはいつ以来だろうか・・それこそ陽子の結婚式以来かもしれない。4人が結婚し、2人は子供がいる。6人のうち4人が仕事をしている。

 子供もいなく仕事をしていないのは凛だけだった。


 子供のいない専業主婦、なんてどんなに優雅かと思われがちだが、凛の心はいつも沈んでいた。

 確かにはたから見れば、優雅な専業主婦なのかもしれない。夫はそこそこの稼ぎがあり、2人で暮らすには少しだけだが余裕があった。その夫もうるさく言うタイプではなかったので、凛は好きなように過ごす事が出来た。

 ただ問題なのは、凛にが無いことだった。


 家の前にある小さな公園から、楽しそうな小さな子供とその母親らしき声が聞こえて来る。

 まったく天気のいい日は憂鬱である。

 

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