第187回『誰かがタマネギを炒めている』→逆選王☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 ついに携帯タマネギ炒め機が発売された。コンパクトでバッグの中に入れておくだけで面倒なタマネギ炒めが出来るという優れモノだ。

『さて、今夜私がいただくのは、帰りながら炒めた飴色タマネギです』

 このテレビCMが大ヒット。家に着いた時の飴色タマネギが実に美味しそうで、食欲をそそるのである。おかげで炒め機はバカ売れ、いつの間にか『ケイタマネ』の愛称で呼ばれるようになった。

 しかし良いことばかりが起きるとは限らない。

「うわぁ、目が、目がぁっ!?」

「誰だ、電車の中でケイタマネの蓋を開けたのは!?」

 そんな事故が頻発する。満員電車なら最悪だ。

 たちまち「絶対蓋が開かないケイタマネカバー」なる商品が次々と発売され、新たに法律も整備される。公衆の集合する場所で稼働中のケイタマネの蓋を開け、若しくはこれをさせた者は軽犯罪法違反として罪に問われ、一日以上三十日未満の拘留または千円以上一万円未満の科料が科されることになり、事故は劇的に減少した。

「やっぱ、飴色タマネギだよね」

「蓋を開けた時の幸福感は半端ないね」

 日本中を平和が包み込む。今日もあなたの隣りでは誰かがタマネギを炒めている。

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