第147回『気体状の学校』→落選

「神様。人間界から贈り物が届きましたぞ。沢山のスプレーが入っています」

「どれどれ。ほほお、それぞれのスプレーに名前が書いてあるの。このスプレーは『警察』じゃ」

「手紙には、治安の悪い地域にシュッと噴霧して欲しいと書かれています」

「では早速、試してみるかの」

 神様が『警察』のスプレーを噴霧すると、適所に警察署が建設されてたちまち犯罪が減少する。

「これは面白い。では、この『学校』というスプレーはどうじゃ?」

「子供の多い地域に噴霧してみるのがよろしいかと」

 神様が『学校』のスプレーを噴霧すると、その地域に適した学校が建設された。

「おお、こっちには小学校。あそこには中学校。幼稚園も沢山できたぞ」

 面白がってあちこちにスプレーを使う神様。しかし、にこやかだった神様の表情がだんだんと曇ってくる。

「どうされました?」

「学校ができて子供の笑顔が増えるのはええんじゃが、どんどんと待機児童が増えていくんじゃよ」

「では『保育園』のスプレーが必要ですね。あれれ、贈り物の中には入っていませんが……」

「仕方が無い。これで『保育園』のスプレーを作る工場を作ってみるかの」

 そう言いながら神様は『産業』のスプレーを噴霧し始めた。

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