第16話 温かい気持ちを拾う 1

「行っちゃうんスか?」

 翌朝、荷物をまとめ旅立つ準備を完了したワクァに、トゥモは寂しそうに問うた。すると、ワクァは少々名残惜しそうに頷いて見せる。

「あまり長く世話になるわけにもいかないからな。それに、あって無いような目的とは言え、まだ旅の途中なんだ。何らかの決着を自分の中で付けるまでは、終わらせるわけにもいかないしな」

「……そうっスね……」

 呟いてから、トゥモは決心したように顔を上げるとワクァに言った。

「ワクァ……自分は、兵士を続ける事にしたっス。兵士になりたいって、最初に言いだしたのは自分っスから……ワクァが旅を続けるように、自分も兵士を続けるっス!」

 トゥモの言葉に、ワクァは頷いた。そして、忘れ物が無いかを確認すると、彼は数日間世話になったトゥモの部屋を後にした。

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