第105話『不思議な娘』
怒気を含んだ声で話すのは若い女。レグスよりも恐らく若い。十六、七といったところか。
レグスの隣で女を見ていたファバは不思議な感覚を覚える。
青目人に見慣れたはずの少年が女を見て最初に感じたのは危うい『白』の色。
はっきりとはしない。が、どこか精霊のセセリナを初めて見た時に感じたものに近いような気がする。明確に同じというわけではないのだが……。
それはレグスも同じなのだろうか、少し警戒の色を浮かべている。
「は、はい。すげぇ逸材が来たんでちょっと興奮しちゃって……」
「逸材ねぇ、で、どっちなの」
レグス達の方を女が見る。
「えっ、そりゃあ勿論、この東黄人の兄ちゃんの方で……」
「はぁ!?」
何を馬鹿な事を言ってるのだと女の顔が語る。
「えっ、えっ、あ、ああ!! えっとちゃんと聞いてないんですけど、たぶん剣の方で、いや、実際すげぇんですよ!! あっ、俺が直接見たのは短剣だったんですけどね。いやほんと!!」
長々と喋るガドーに女は舌打ちして、レグスに直接言葉を投げかける。
「あなた使えるのは剣だけ? 魔法は全然なのかしら?」
「ああ」
実際には魔法に関して多少心得はあった。だがここで全てのカードをオープンにする必要はないだろう。
「……本当かしら」
女の表情が変わった。いや、瞳が変わったのだ。
くすんだ灰色の瞳が妖しい紫の瞳へと変わっていた。全てを見透かそうと、見抜こうとする瞳。
それはぞっとするほど恐ろしいものだった。
女の瞳がレグスを射抜く。
その圧力に彼の手が咄嗟に剣へと伸びそうになる、が。
「まっ、いいでしょ。魔術師じゃないなら私の担当ではないわ。……二階にいるから連れてってあげなさい」
そう言って女はもといた奥の部屋と引っ込んでしまうのであった。
「おい、ゲッカ。何だよ、今の女。目の色が一瞬変わってなかったか?」
声を抑えながらファバが言う。その表情はどこか怯えているようにも見える。
「紫の瞳は北白系の特徴の一つではあるが、灰色から紫に変わると言うのは聞いた事がないな」
「いったいあの女……」
謎に答えを出す時間はない。
「おい、あんたら。こっちだ」
ガドーに呼ばれ、建物の二階の一室へと二人は案内される。
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