第81話
竜が散る。
核に集っていた無数の魂が弾け飛ぶ。
犬に猫、鳥に草に、木に、蟻に、邪悪に呑まれていた無数の魂が解放され、天へと去っていく。
――しつこい奴らだ。
だがしかし、歪な翼を持つ人のような悪霊だけは天へと去らずにいた。
それも一つや二つではない。百を超える数はあるだろう。
恐らくこれが巨大なドラゴンの霊体の核となっていた魂達。
――サレ、ココヲ、サレ。
最初の悪霊と同じように、敵意を剥き出しにした思念がレグスの中へといくつも流れ込んでくる。
「去るのはお前らだ、亡者達よ!!」
自分の周囲を囲う悪霊達を斬ろうとするレグスだったが。
――くそっ!!
思うように足が動かず、その場に崩れ落ちてしまう。
剣の力の反動だった。
莫大な魔力と霊力によって、レグスの肉体に限界以上の負担がかかってしまっていたのだ。いや肉体的限界だけではない。暗い剣の力は精神的疲労をも随分と生み出していた。
精神力の磨耗は、悪霊達の精神的攻撃に対しても弱くなるという事。今のレグスではこのまま悪霊達の強い呪念によって殺されてもしまっても何らおかしくない状態だった。
――おいおい、ここで終わりじゃねぇだろ。
自分の肉体の不甲斐無さに悪態をつこうと、状況は変わらない。
浮遊しながらゆっくりと悪霊達がレグスとの距離を詰めていく。
万事休す、そう思われた時。
レグスの脳裏に響く声。
――オモイダシナサイ。
それは悪霊達のようなひどく歪んだ不快な思念とは違う。もっと暖かく、それでいて透き通るような明瞭さに満ちた声。
――誰だ!?
聞き覚えのある声だった。
――オモイダシナサイ。
繰り返される声に、周囲の景色が消え、過去が浮かぶ。
そこはかつて子供の頃見た母の姿、母の声。
あの日、あの時、母が自分に伝えた事。
――まさか……。
レグスは自身の指輪に目をやった。
今までよりも強く、確かな青い光りを放つ指輪。
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