ごほうび

 少女は、チンピラ達を瞬く間に倒した男に声をかけた。


「おじさん、ありがとう!」


 無愛想な男は素っ気なく言った。


「……進路の邪魔だっただけだ。じゃあな」


「ねえ、おじさん!」


「おじさんと呼ぶな」


「あなたの腕を見込んで頼みがあるの! わたし、悪い人たちに追われてるんだ。だから守ってくれない? 報酬は払うわ!」


「報酬ってのは?」


「……あれ、おじさん? 近くでよく見ると若いね」


「そ、そうか? で、報酬は?」


 少し照れた男に少女は言った。


「今の!」

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