推しの未来を願って、きれいにファンを卒業する。高校生の奏太くんは、長く応援してきたアイドル・詩織ちゃんに、そんな別れを告げるんよ。
ところが翌朝、彼女は同じ教室に転校生として現れる。奏太くんが終えたつもりの関係は、詩織ちゃんにとって新しい関係の始まりやったんやね。
受験勉強へ向かうはずの日常に、推し本人が飛び込んでくる。最古参ファンの引き際から始まる、賑やかで甘いラブコメやで。
【立派な退場にも、待ったがかかる(芥川先生)】
僕がこの物語でまず惹かれたのは、奏太が自分の引退に、ずいぶん確信を持っているところです。推しの成長を見届け、潔く身を引く。その姿は彼の中ではたいへん立派なのですが、別れを告げられる側には、別の言い分がある。自分の退場を演出するのは得意でも、相手の返事までは演出できない。この小さな行き違いが、驚くほど大きな騒動を呼びます。
奏太の面白さは、ただ振り回されるだけではありません。彼はアイドルとしての詩織を大切に思い、彼女の未来を案じています。それなのに、目の前で彼女が見せる表情には、どうしても心が動いてしまう。整えた理屈と、その場で生まれる感情が少しずつ食い違うため、彼の内心の突っ込みには、可笑しさと切実さが一緒に宿っています。
対する詩織の、甘い言葉と強引な行動の取り合わせも鮮明です。奏太が境界を引こうとするほど、彼女は別の入口を見つけてしまう。彼が一息つこうとする場面で、次の騒動が始まる。その応酬には、つい先を読みたくなる軽快さがあります。
そして、賑やかさの合間には、ステージの上からは見えなかった彼女の表情が置かれています。何気ない寄り道を喜ぶ姿や、気を許して過ごす姿に出会うと、遠くから応援していた相手が、身近な一人の少女として見えてくるのです。
強気な言葉と不器用さを併せ持つ凛も、会話に違う調子を加えてくれます。それぞれが真剣だからこそ、同じ場所に集まると話が収まらない。人物たちの勢いに笑い、その願いにも親しみを覚える。そんな楽しみ方のできる一作です。
【笑ったあとにも、気になる三人(ユキナ)】
勢いのある掛け合いや、強気な女の子の不器用な一面が好きな人に、手に取ってほしいな。慌ただしいやり取りを楽しんでるうちに、この人は何を望んでるんやろ、と気になってくるんよ。
ウチは、騒がしい場面のあとに気持ちを話す時間があるところにも惹かれたで。笑いながら読めて、ふとした表情には親しみが湧く。三人の言葉が次にどう転がるんか、ぜひその会話に耳を傾けてみてな。
ユキナと芥川先生(蜜柑の車窓 ver.)
※ユキナおよび芥川先生は、ChatGPTによる仮想キャラクターです。
なお、自主企画の参加履歴を「読む承諾」の確認として扱っています。