手紙とは念が籠りやすいもの。そんな不穏なイメージもあります。
自分に寄せられた恋文の数々を長く箱に仕舞っていたことで、それが解放された瞬間に情念が解放され、美しかった男が鬼になってしまう話。
そんな説話まであるほど、「手書きの文」には念が籠もりやすいものなのかも。
本作の主人公は強い情念を抱いていると自負し、ストーキングしている男の家に侵入する。
そんな彼女の前に手紙の情念が形を持った「文車妖妃」なる妖が現れて……。
男の向けられる念という、圧倒的にドロドロしていると思われるもの。
そんな鏡合わせのような状況に陥り、女は一体何を見るのか。
最終的に提示されるヴィジョン。女は自分の「執着」や「想いの強さ」というものが強いものだと自負していたが、最終的に目にする「文車妖妃」がどんな顔をしているか、ということで「圧倒的な現実」を目の当たりにすることに。
強烈なカウンターパンチや現実の世知辛さなど様々感じさせられる、鮮烈な魅力を持った作品でした。