不幸の手紙という古典的な題材を、免許証やマイナンバーカードの画像を要求する現代的な詐欺に結びつけた発想が面白い。アスカが「こんな露骨な手口に引っかかる奴、今のご時世にいるわけ」と呆れた直後、ユリから電話がかかってくる流れには思わず笑ってしまった。しかも、ユリは自分の身分証を送っただけでなく、友人の分まで集めようとしている。呪いを恐れるあまり、疑うことすらできなくなった姿が滑稽でありながら、現実の詐欺にも通じる怖さがある。最後に、アスカ自身も手紙の送付先だったと判明することで、笑いは友人への呆れと気まずさに変わる。超常現象より、人間の恐怖心を利用する手口のほうが厄介だと思わされる一編だった。
残業帰りの一人暮らしの部屋に届いた、差出人不明の不幸の手紙。ところがその中身は、呪いの文面に令和ならではの「ある要求」がくっついた、とんでもない代物でした。
主人公アスカの切れ味鋭いツッコミが最高で、一文ごとに笑わされます。短い中にテンポよく笑いが詰まっていて、昭和の遺物である不幸の手紙を、令和の個人情報詐欺と掛け合わせた発想がとにかく見事です。
主人公のツッコミに笑いながら読み進めていると、ある電話をきっかけに、じわじわと嫌な予感が広がっていく。呪いよりも、ずっと身近で現実的な怖さがそこにあります。
笑えて、少しだけ背筋が冷える。今の時代だからこそ書ける、さくっと読めて満足度の高い一作です。